はる

最後の誘惑のはるのレビュー・感想・評価

最後の誘惑(1988年製作の映画)
4.0
上映時間が長いもんで敬遠してたんですがようやく観ました。結果、想像以上に面白かったです。
スコセッシはもともとカトリックの司祭を目指していた事もあり、彼を語る上でキリスト教の存在は欠かせません。本作は当時かなり物議を醸したようですが、観て納得。そりゃ怒りますよこれは。原作厨の人が実写映画での改変に怒るのと一緒ですよね。イエスをただの人として描き、福音書の最も肝と言える部分を大きく変えてしまっているんですから。十字架に磔にされたイエスが死を恐れて逃げちゃうんですよ。その後、女とばっちりセックスして家族作っちゃって平和に暮らすんですよ。ただ熱心な信者ではない人間からするとその改変された部分が面白く、ユダが裏切り者としてではなく、イエスからの命であの行動を取った点や、ラストの実はアレはアレだったというネタバラシと物語的にはこれもかなりアリだと思いますね。イエスを演じたのはみんな大好きウィレムデフォー。めちゃくちゃカラダを張った熱演は見応え抜群です。ユダ役にはハーヴェイカルテル、ローマの提督役にはなんとデヴィッドボウイで、キャスティングもさりげに面白いですね。音楽はピーターガブリエルが担当しており、エンドクレジットで流れる曲は特に最高でした。
私としてはこの人間らしいイエスの事は好きですし、何よりまさにスコセッシの映画の主人公と言った感じで最高なんですよね。神と人間の狭間で心が揺れ動いた瞬間に、最後の誘惑が訪れたら自分だったらどうするかなぁと考えちゃいました。
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