キャッスルグレンギャリ

キネマの天地のキャッスルグレンギャリのレビュー・感想・評価

キネマの天地(1986年製作の映画)
4.0
U-Nextで鑑賞。松竹大船撮影所50周年記念作品で、松竹が総力を上げて制作した作品だったことがうかがいしれます。盆暮れの人気シリーズ「男はつらいよ」を中断して、本作を制作したそうですから。そのため山田洋次監督、渥美清以下メインスタッフが、「寅さん」のためにスケジュールを開けていたのでしょうか、本作に総出演です。前田吟、倍賞千恵子がこちらでも夫婦だったり、御前様が小使さんで出ていたり、だれでもわかるのですが「楽屋落ち」を探しているようで楽しかったです。
作品のキャプション、配役の序列から中井貴一、有森也実二人の恋愛物かと入っていったのですが、途中からひとり親父娘の物語であることに気付かされます。渥美清は寅次郎そのままの達者な滑舌を保ちながらも、娘のことを期待し心配するたぶん最後はこうなるんだろうなあ、と思わせるペーソスを漂わせる父親を見事に演じていました。