コーカサス

キネマの天地のコーカサスのレビュー・感想・評価

キネマの天地(1986年製作の映画)
3.5
松竹大船撮影所50周年記念作品。

時は1933年 (昭和8年) 、松竹が大船に移転する以前の蒲田撮影所を舞台に、城戸四郎、斎藤寅次郎、小津安二郎をモデルにした登場人物たちが、日々映画に情熱を注ぐ様子を描いた戦前の古き良きニュー・キネマ・パラダイスだ。
ちなみに有森演じる小春のモデルは名女優・田中絹代である。
出演者も豪華だが、製作・野村芳太郎、脚本・井上ひさし、山田太一とスタッフも大御所揃い。
本作公開のため、この年の夏の『男はつらいよ』は見送られたが、脚本・朝間義隆、音楽・山本直純、キャメラマン・高羽哲夫といった所謂《山田組》と『男はつらいよ』の出演者全員が参加していることで、寅さんファンにも十分楽しめる作品として仕上がっている。
中でも“寅さんではない”渥美清の演技は素晴らしく、倍賞との絡みは絶妙だ。
吉岡演じる満男が、寅さんと同じ満男という役名には笑えたが。
なお、有森は同年暮れに公開された『男はつらいよ・幸せの青い鳥』のラストにゲスト出演している。

160 2019 1996/6/15