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グリースのkomoのレビュー・感想・評価

グリース(1978年製作の映画)
4.4
高校生のダニー(ジョン・トラヴォルタ)とサンディ(オリヴィア・ニュートン・ジョン)は避暑地で出会い恋をして、夏が終わると離れ離れに。
かと思いきや新学期、なんとダニーの通うライデン高校にサンディが転校してきた。
再会を喜ぶふたりだったが、実はダニーは不良グループ・Tバーズのリーダーで、プライドが相当高かった。仲間の手前でサンディに軽薄な態度を取り、彼女を深く傷つけてしまう。
ふたりは少しずつ再び距離を縮めてゆくものの、一緒に出場したダンス大会で、またしてもその仲が引き裂かれてしまう事件が起こる。


50年代アメリカの強みが詰まった鮮やかなミュージカル。元々この作品の舞台版で端役を演じていたトラヴォルタはサタデーナイトフィーバーのヒットを経て、映画版の主役に大抜擢。ヒロインのオリヴィア・ニュートン・ジョンはトラヴォルタ自ら指名したそう。
歌手としてヒットを飛ばしていたオリヴィアは映画には初挑戦だったそうですが、堂々として箔のある表情を見せてくれていました。そしてジャケットの静止画の写りがあまりよくない気がします。劇中の動いている彼女はこの何倍も美しくて可愛いらしいです!

トラヴォルタは学校内での初登場のシーンからして、カリスマ性が漂い過ぎていました。ゆっくり微笑む時の口元の動きが好き。本当に世界一かっこいい振り向きだと思う…。
外見は厳つすぎる彼ですが、仲間の前でカッコつけてる時とサンディに必死に取り繕ってる時のギャップがお茶目で憎めません。

ダニーとサンディがそれぞれ別の場所で互いの思い出を語る『Summer Nights』は一度聴いたら忘れないくらいキャッチーな楽曲で、話を盛り立てる仲間たちのコーラスも楽しいです。作中の曲でこれが一番好き!
オープニングのアニメーションのお洒落さと、美容学校に落ちた女の子を励ます"天使"の曲にも意表を突かれました。
そして全体的にトラヴォルタのハイトーンに腰が抜けます。
ダンス大会のシーンもキレキレで見どころぎっしり。

ストーリーは王道を行く感じではあるのですが、この作品の魅力は『若者のエネルギーへの圧倒的な肯定』と『人と人の引力』であると感じました。
若者を激励しているけれど、若者のやることなすこと全てを甘やかすのではなく、失敗してもまだやり直せるというその力強さを高らかに祭り上げてくれている気がします。
そして散々揉めていたキャラクターたちがラストシーンでは一丸となり『やっぱり仲間って最高!』というテンションになるのも、決してご都合主義ではなく、人と人の葛藤の過程を描いた上でのきちんとした到達点となっていました。
最後にサンディが変貌するところも、一番肝心なのは容姿が垢抜けたという点ではなく、彼女の心が『ダニーについてゆく覚悟を得た』というところですね(^^)
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