April01

第三の男のApril01のレビュー・感想・評価

第三の男(1949年製作の映画)
4.4
M16所属歴のある作家グレアム・グリーン脚本の作品。
古い映画ならではの、現代でリメイクしたら失われてしまうであろう骨董品のような雰囲気と映像美がある。
ロケ地を巡ることはできても、光と影が交錯する白黒のカメラワークでしか表せない戦後の荒廃したウィーンの情緒はもう映像の中にしかない。
ラストの画は一体なんと表現すればいいのか!落ち葉の舞う並木道、ジープに寄り掛かる男、その傍らを一瞥もくれず昂然と通り過ぎる女、悠然とタバコに火をつける男、思い出すだけでじわーっとくる嵐のような感情がセリフのないロングショットに閉じ込めれているかのよう。
闇の中で街灯に照らされて浮かび上がるオーソン・ウェルズ演じるハリー・ライムの顔、大きくそびえる観覧車で交わされるジョゼフ・コットン演じるホリー・マーティンスとの会話、暗い地下水道の中でサーチライトのように長く伸びる影、鳴り響く靴音、そして冬枯れのウィーン墓地の並木道でのロングショット。印象に残る場面の数々にアントン・カラスのツィターの音色が脳裏に焼き付いて、ミスマッチな軽快さが謎のごとく観た後しばらく離れない。やっぱり・・・エビスビール😁🍺
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