おさかなはフィッシュ

トム・ヤム・クン!のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

トム・ヤム・クン!(2005年製作の映画)
4.0
いやあ、これは快作アンド怪作……!

まずはじめに導入教育を受ける。やすらぎのBGMが流れる中、学校の送り迎えをしてくれるゾウ、早いもので所帯を持つゾウ、母親の亡骸に取り縋って泣くゾウ。ゾウは情の深い動物、ゾウはトモダチ。スタートラインを揃えるかのように、ゾウへの親愛がカーム青年並みまで高められる。
お祭りで鈴を買ってもらってうれしそうなゾウ、はぐれて誘拐されてしまうゾウあたりで「いやでも待てよ、私が観ているのはムエタイ映画じゃなかったか……?」と思い始めるが、突如幕を開けるぶっとび大乱闘シーンにおったまげる。ちょう怒ってる! でもその怒りに取り残されない。分かるよ、ゾウに手を出す奴マジありえないよね! 時間をかけて丁寧に行われた教育が、ここで功を奏するのであった。

一難去ってまた一難、タイマン○本勝負は伝統なのだろうか……!? 今回は異種格闘技戦! カポエイラをこんなにじっくり見られるのってなかなかない。レスラーとも決着がついてよかった。
関節キメキメ祭りなんかもそうだけれど、タマの取り合いという意味でのリアリティをハナから捨て去っているのが潔くていい。「とにかく俺の技を魅せていくぜ!」という姿勢。アクションのリアリティがこれだけしっかりしているからこそできること。
(「カメラを止めるな!」とか、ホントもういい意味での自由研究。階段をかけ上がって後を追うあたりで「エッ、マジでやんの……!?」と思った。「やらなくてもいいけれど、ちょう真剣にやりました!」という。いやはや、拍手喝采!)

骨トンファーは倫理観を揺さぶられたが、あなたがいいって言うのなら誰も文句は言うまい。



「お前もスキヤキ的な感じでトムヤムクンにされたクチか?」と思ったけれど、元からだった。予告編によると、トニー・ジャー世界進出第一弾だったらしい。親切心。