しゅん

恐怖への旅のしゅんのレビュー・感想・評価

恐怖への旅(1943年製作の映画)
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冒頭の、針飛びしたレコードをクイとズラすワンカットがかっこよすぎてただものではない感漂うが、それ以降も全ての登場人物が胡散臭く狂気じみていて、ひたすらパラノイアな気分が続く。オーソン・ウェルズの警部もデブ眼鏡の殺し屋もフランス人の共産党シンパも船長もキャラ強すぎる。一番神経にくるのは鉤鼻のトルコ人役のあいつ。とにかく全てを無視した笑顔が怖いよ。
船の密閉環境と暗さと狭い通路に狂気が加速して、全員がグルに見えて、観てる方の頭がおかしくなりそうだった。船を降りてからの活劇以降、やたらコメディめいている落差も凄い。オーソン・ウェルズが監督を降りたという逸話付き。狂気を物語構造にスッポリ落とし込んでいて、忘れ難い69分。
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