あんがすざろっく

アイアンマン2のあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

アイアンマン2(2010年製作の映画)
3.8
ロバート・ダウニー・ジュニアと共に、マーベルのベースを作り上げたアイアンマン、その2作目です。1作目が大傑作だったこともあり、期待度は膨らむばかり。
しかし、当時はフューリーが登場しても、ポストクレジットを見ても、果たして何のことやら状態で、楽しさは半減していました。
後はヴィランのウィップ・ラッシュ、ミッキー・ロークでしょう。どうにもこうにも、キャラクターに魅力を感じない…。これは最初に見た時も、今見返しても変わらなかった、残念…。
というより、今回見返して、トニー・スタークの物語がしっかり出来てるんだな、と感じました。

前作で致命傷から辛くも復活したものの、生命そのものを左右するアーク・リアクター、その素となるパラジウムは毒素となり、確実にトニーの体を蝕んでいった。
その恐怖と戦いながらも、国民からのアイアンマンへの絶大なる期待と板挟みになり、徐々にトニーは自暴自棄になっていく。
ヒーローであること、国を守ること。だがトニーはそれに見合う清廉潔白な人物ではなかったし、トニー自身も自分に課せられた責任の重さを痛感していた。
誰に頼まれた訳でもないのに、世界を救おうとする。
トニーを突き動かす原動力は何なのか。
それは、前作でも描かれた、自分の作り上げたハイテク兵器が、結局罪もない人達を死に追いやる殺人兵器と化している事実を知ったからだ。
自らの命を捧げても、世界を守る。それがせめてものトニーの罪滅ぼしだったのかも知れない。

考えれば、キャップはヒーローになるべくして誕生したヒーローだし、ソーは神そのものだ。
プレイボーイのキャラクターからは想像できないが、トニーが一番重荷を背負ったヒーローのような気がしてならない。

また、自暴自棄になったトニーの姿にやるせなさを感じていたのは、親友のローディだった。
このローディの心情が、今回特に印象的。
酔っ払った挙句、アイアンマンスーツを身につけて危なっかしい大騒ぎを繰り広げるトニーに業を煮やし、ついに自らも量産型スーツを装着してトニーを力づくで沈める。
ローディだって、こんなことでトニーと仲違いしたくなかったはず。
最終的には“トニー”アイアンマンと“ローディ”ウォーマシンは共闘し、ウィップ・ラッシュに立ち向かう。
新たな発見もあって、やっぱり見直しておいて良かった。

それにしても、トニーのライバルの武器商人、ハマーを演じたサム・ロックウェル。なんでこの人、こんなに軽薄なキャラが似合うんだろう(笑)。いや、褒めてるんですよ、僕ロックウェル好きですし、こういうキャラクター出来る役者さんは貴重ですからね。

そしてそして、音楽ですよ‼︎AC/DCですよ‼︎パート1は冒頭から「BACK IN BLACK」が鳴り響き、お〜、分かっていらっしゃるじゃないですか、いきなりテンションあがりますよ‼︎状態だった訳ですが、パート2は何とサントラがまるまるAC/DC‼︎劇中ではあまり流れなかったのが残念ですけど。タイトル後のアイアンマン降下シーンを盛り上げるのは、AC/DCの傑作アルバム「BACK IN BLACK」からの「SHOOT TO THRILL」‼確かアベンジャーズのアイアンマン登場シーンでも流れていました。何故もっとガンガンに劇中でかけてくれないの⁈後はラストの「HIGHWAY TO HELL」ぐらいで…。
この「BACK 〜」というアルバムは、全世界でCD売上トップ5に入る程なんですよ‼︎マイケル・ジャクソンの「THRILLER」と名前を並べられるくらいなんです‼︎日本での知名度は世界に比べたら低いのが悲しい…。
あのサウンドスタイルは、日本では受け入れられ難いんですかねぇ。
AC/DCはデビューしてから40年近いオーストラリアのベテランですが、何と公式のベストアルバムが発売されていません。多分聞いて頂くと分かると思いますが、どの曲を聞いてもやってることは同じです(笑)。だから選曲が難しいんでしょうね。ローリング・ストーンズのように、常に新しい音楽を取り込もうとしない。音の作りは年を重ねて変わってきている部分もありますが、基本はただひたすらロックンロール。ギターのリフが肝なので、メロディアスなコード進行はないし、初期は音もスカスカ(笑)。しかし、それがやめられなくなるんですよ。音を重ねて厚みを出したり、凝った曲とか、ギターソロなんかはないけれど、ごまかし無しでロックンロールを掻き鳴らす。40年同じことを変わらずに続けるって、それこそ凄くないですか?
メンバーはギターのアンガス・ヤングがアイコンになってますが、初代ヴォーカリストのボン・スコットを不慮の事故で亡くし、2代目のブライアン・ジョンソンをアルバム「BACK〜」で迎えてから、主要なメンバーはチェンジなしで走ってきたモンスターバンド。
しかし、この数年、バンドには不幸が続けて襲いかかっています。
アンガスの実兄にして、バンドの屋台骨だったリズムギターのマルコム・ヤングが2017年に病死し、ドラムのフィル・ラッドが殺人事件の関与を疑われて逮捕、ヴォーカルのブライアンは聴覚障害が見つかり、バンドを離れます。
その間もワールドツアーはメンバーを変えて続いています。
中でもブライアンの代わりにヴォーカルに招いたのが、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズ‼︎
破天荒な噂ばかり先行する彼ですが、僕は彼の名前がアナウンスされた時も心配はしていませんでした。アクセルって、自分がリスペクトするアーティストには絶対敬意を払うって思ってましたからね。YouTubeでライブ映像を見たけど、アクセルの声は初代ヴォーカリストのスコットに声質が似ていて、初期の名曲もしっかり歌いこなす辺り、やっぱり凄い才能の人だな、と思いました。

そんなAC/DCですが、最近の情報だとブライアンとドラムのフィル・ラッドも戻って、アルバム制作に入ったとか。きっとマルコム追悼アルバムになると思うけど、何とも楽しみです。

まるでAC/DCのレビューのようになってしまいましたが(笑)、アイアンマン2のサントラは、ベストアルバムではありませんが、収録されたナンバーは名曲揃いです。AC/DCの2枚組ライブアルバムがラインナップとしてはベストな選曲なので、ご興味持たれたらこちらのライブ盤がオススメです。
以上、AC/DCのサントラレビューでした(笑)。
さぁ、アイアンマン3を見返そう‼︎

MCU 3作目
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