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またの日の知華のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

またの日の知華(2004年製作の映画)
1.9
【自主原一男映画祭③】
原一男初の劇映画であり、その年の映画芸術ワーストテンに入った(5位)黒歴史映画。

学園闘争の時代を生きた知華の生涯を吉本多香美、渡辺真起子、金久美子、桃井かおりの4人が演じる異色作だ。

作品を観ていると、作品を作るタイミングがそもそも悪かったと思われる。ATGの暑苦しさとバタ臭さが全編に漂う。私が記憶している限り2000年代邦画は、アニメは例外として邦画ダサい風潮があったと思われる。ATGを意識した映画なんて、当時の人からしたら観るに耐えかねるだろう。

ただ、今観ても面白い映画に感じなかったのは明らかにキャスティングミスだ。『ムーンライト』のように違う世代の同一人物を別の役者が演じても、その人物の連続性を感じる作品ではない。

ただ、知華という女が4人の男と付き合う断絶の話になっているのが致命的である。

また、『ノルウェーの森』方式で学園闘争が単なる飾りでしか機能していない、暴力がファッションで終わってしまっているのもかなり痛いところ。

結局、『極私的エロス・恋歌1978』の劇映画版にも見える本作は原一男の自慰映画の域を出ることが出来ず観客に苦痛を与える作品でした。

劇映画では驚くほど魔法がなかった本作にがっかりである。
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