マリリン

トロピカル・マラディのマリリンのレビュー・感想・評価

トロピカル・マラディ(2004年製作の映画)
4.0
【森と青年同士の恋と虎の精霊】
◉2004年カンヌ国際映画祭審査委員賞受賞。
アピチャッポン作品初鑑賞。今までの映画体験が覆されるような感覚…。ハリウッド的な映画で育ったし、好きなのは好きだけど、なるほど、こういうのも「映画」なのか。
二部構成の映画だけれども、あくまでも一つの作品。前半はタイの青年同士の恋が瑞々しく、甘酸っぱく描かれている。でも、どこかで二人の関係性が劇的に変化することもないし、日常は過ぎていく。後半は兵士と虎の話が森のなかで展開される。『山月記』的な内容。前半と後半の関連性はほとんどないけれど、アピチャッポンが撮る森は美しく神秘的。『スター・ウォーズ』とか『ゴッドファーザー』的な、いわゆる映画音楽もなく、聞こえるのは風に揺れる草や木々の音と獣の足音と呼吸のみ。でもこれが十分に映画音楽の機能を果たしていると思う。
次は『ブンミおじさんの森』を見る。どんな感じなんだろう。
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