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息もできないのandhyphenのレビュー・感想・評価

息もできない(2008年製作の映画)
4.5
新宿ピカデリー9周年記念イベントで鑑賞。
暴力とクソ野郎という言葉(観客は否応なしにこの単語を覚えて帰ることになる)に溢れているのにひどく繊細な映画。
主人公は語彙がとにかく少ない。汚い言葉と暴力しか使いこなせない。彼がそういう人間になった原因は壮絶な過去にあるが、具体的な回想シーンはたった1度。それだけで全てを表現している。
相対するヒロインの女子高生も最悪の家庭環境で生きているが、彼女はそれを主人公に語ることはない。でも2人はどことなく通じ合う。
中盤からずっと涙が止まらない状態で観ていた。もしかしたらこれから違う生き方ができるのかもしれない、という希望。それを阻むものは過去の自分。全てが刺さる。
あらすじを語ってしまうとよくある展開なのかもしれない。が観ると深く心を動かされる映画。
穏やかなシーンは音楽が流れて台詞が一切聴こえないのが儚い思いにさせた。
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