壊れてしまった心や燃え尽きてしまった心。つぎはぎでみっともなくて嘘だらけで、なんて不完全な生き物なんだろう。なりふり構わず大切なものを守ろうともがいたり、勢い任せに傷付けたくなったり。なんて身勝手で浅はかなんだろう。そして、なんて愛おしいんだろう。
タイトルの通り、息ができない120分。何度も目を伏せたし耳を塞いだ。画面いっぱいに満ちた悲しみに溺れるかと思った。
わたしは怒りからは何も生まれないと思っている。人を呪わば穴二つもそうだが、怒りは必ずどこかで悲しみに変わると思っている。暴力も同じだ。負の感情を持ち続ける執着も、ひとつの愛だろう。せっかくの愛なら違う形で手に持ちたいと思うから。
窓から見える晴れた空と、ハタハタとなびく洗濯物。テーブルの上にこぼれているクラッカーの残りクズ。なんてこの映画に似つかわしくないんだろう。この青空もクラッカーも全部あげる。観ているわたしが許しがたいのにこんなことは言えないけれど、できれば全て許して身を寄せ合って温かく居てほしい。
