うめ

フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白のうめのレビュー・感想・評価

3.5
 アカデミー賞関連作、鑑賞その17。第76回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を獲得している。1916年に産まれ、第二次世界大戦に陸軍として参加し、戦後フォードで働いた後、ケネディ、ジョンソンのもとで国防長官を務めた、まさにアメリカ現代史の真っ只中で生きてきたロバート・マクナマラが、自身の経験談を例に11の教訓(Eleven Lessons)を語る。

 11の教訓の中には「「決して」は決して言うな」といった実に政治家らしい教訓や発言がある。カルフォルニア大学で経済学を専攻していただけあって、何事もまず統計をとりデータ集めしてから決定してきた話を聞くと、見方によっては冷酷な判断をしてきたように思えるだろう。また彼のはっきりとした物言いも、これまで幾多の危機を乗り越えてきた政治家を思わせる。だがそうした政治家のような側面を見せる一方で、ふっと感情を見せる場面がある。そうした二面があるのは、11の教訓が彼の経験から生まれたものだから。彼の教訓以上に、彼の経験談が「彼が何を伝えたいか」を最もよく伝えている。日本への無差別爆撃作戦、キューバ危機、ベトナム戦争…彼の話だけでも得るものがたくさんありそうだ。

 マクナマラのインタビューだけでなく、当時の映像や音声も見ることができるのもとても興味深かった。アメリカの歴史の裏側にいた人物マクナマラの話を、一度聞いてみてもいいだろう。
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