クレセント

愛と哀しみの果てのクレセントのレビュー・感想・評価

愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)
4.0
壮大なアフリカの大地を列車が走る。そして何よりも、誰よりもジョン・バリーの荘厳で、華やかなシンフォニーが、まるで主人公の感情の高まりを感じさせるように流れはじめる。もうこれだけで、完全にこの映画の虜となってしまった。彼はこの作品でアカデミー音楽賞を勝ち取ったのだが、当然だと思う。彼の数々のヒット曲のなかでも秀逸である。

I had a farm in Africaで始まる主人公の回想は、原作Out Of Africaによるもので、主役のM.ストリープは、気丈夫さと女性の弱さを併せ持つ複雑な役を無難にこなし、私はこの映画の彼女が一番好きだ。かわいらしくそして魅力的な女主人公を演じた。

この映画で初めて知った、F.M.ブランダウワーはオーストリアの俳優だそうだが、いい味を出していて、彼の随所に見せる顔の表情が妙に記憶に残る。案の定、アカデミー助演男優賞の候補だったのだ。

R.レッドフォードは、大都会でも大自然のなかにいても光り輝く俳優で、彼の身勝手な、そして奔放な行動は、女主人公はもとより、観客の多くの女性をも迷わす’羨望の男’であることは間違いない。

こういう映画を見せつけられると、せせこましい日本から逃げ出したい欲望に駆られる。S. ポラックは手堅い演出を手がけたが、邦題名は女性客層を狙ったと思われ、陳腐である。
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