ナツミオ

愛と哀しみの果てのナツミオのレビュー・感想・評価

愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)
4.0
WOWOW録画鑑賞
【ロバート・レッドフォード特集】
過去鑑賞も2,30年振りに名作を鑑賞。未レビューのため再投稿。

アフリカの大地に魅了された実在の女性の波乱に満ちた人生を豪華キャストで映画化した名作。

アカデミー賞10部門ノミネート(主演女優(ストリープ)・助演男優(ブランダウアー)・編集賞)
7部門受賞(作品・監督・脚色・撮影・美術・音響・作曲賞)

ゴールデングローブ賞3部門受賞
作品(ドラマ部門)・助演男優(ブランダウアー)・作曲賞

原題 『Out of Africa』

原作 アイザック・ディネーセン(主人公カレンのペンネーム)著の回想録
『アフリカの日々』(1937年)

1985年米作品
監督 シドニー・ポラック
脚本 カート・リュードック
音楽 ジョン・バリー
撮影 デヴィッド・ワトキン
出演 メリル・ストリープ ロバート・レッドフォード クラウス・マリア・ブランダウアー マイケル・キッチン マリック・ボーウェンズ ジョゼフ・ティアカ レイチェル・トンプソン

(WOWOW番組内容より追記)
1910年代のスウェーデン。
デンマークの裕福な家に生まれたカレン・ブリクセン(ストリープ)はスウェーデンの貴族ブロル(ブランダウアー)と結婚しながら経済的自立を目指し、母国の上流社会を飛び出し、1913年新郎とともに東アフリカのケニアに渡り、ンゴング山の麓に農園を開く。
そこで一匹狼の冒険家デニス・ハットン(レッドフォード)やその友人コール(キッチン)と知り合い、デニスたちと親しい仲になっていく。
コーヒー農園を始めたカレンたちだが、なかなか思ったようにいかず、また夫の浮気にも悩まされる。
第一次大戦の余波がアフリカにも及び、やがてブロルが英軍に出征した後、カレンは彼がいる英軍に食料を届ける危険な仕事を引き受ける。幾多の危機を乗り越えてカレンは、英軍のキャンプに辿り着いた。
3カ月後、カレンはブロルより感染した梅毒にかかり、デンマークに帰国。手術の結果、子供の産めない身体になってしまった。再びアフリカの大地に戻ったカレンは、教育に目ざめ、子供たちのために学校を開放する。やがて戦争も終わり、自由を謳歌するようにデニスと共にサファリ・キャンプを続けた。
一方のブロアは、相変わらず女遊びに夢中になっていた。ブロアを家から追い出すカレン。いつしか愛を語り合うようになったカレンとデニスだが・・・

1人の白人女性カレンを主人公にアフリカの厳しい自然と戦いながらの農園経営、植民地住人、地元民や使用人達との関わり、夫の浮気、戦争、病気、災害など数々の逆境に立ち向かう彼女が冒険家デニスに惹かれるようになる大河メロドラマ。

監督のポラックは、原作の持つ、「小説というよりも田園詩」の詩的な文体に心奪われ、キャストにカレン役ジュリー・クリスティ、夫ブロア役にライアン・オニールで製作準備していたが流れた。
他、英国人監督デビッド・リーンたちも映画化を希望しながら挫折。そして原作者ディネーセンの生誕100周年の節目、1985年に映画化。

7割をケニアでロケしており、ナイロビに近い町で当時の市内を再現。時代の移り変わりを当時の馬車から時を経て自動車や複葉機なども再現されている。

そして、演じるのはカレン役ストリープは、数々の困難に立ち向かい、レッドフォード演じるデニスと恋に落ちる喜怒哀楽の表現は素晴らしい!

助演のブランダウアーもカレンと別れてもなお友人関係が続いた夫ブロル役は良かった。

新たな発見
デニス友人のコール役マイケル・キッチン。イギリスの俳優さん。
大好きな英TVドラマシリーズ『刑事フォイル』の主役発見!若い!

印象的なシーン
・苦難を乗越え英軍部隊に物資を届けるカレンたちが到着した時の英軍兵士たち男の驚いた顔、顔。

カレンとデニスのサファリ・キャンプ
・カレンの髪の毛を優しく洗うデニス
・ライオンに襲われるシーン
・野外での夕食シーン

・黄色い複葉機での冒険飛行。
滝→平原→山々→動物の群れ→湖→野鳥の群れ→空の雲の中
絶景シーンの連続‼️
そして席の前後で手を握りあう2人

2人は愛し合うが、次第に生き方の違いや不在がちなデニスに不満を募らせるカレン。
「結婚したら何か変わるのか?
いや、ならない!」
不意の別れ

アフリカを去り故郷に帰るカレン
召使い長ファラとの会話。
「物資を運んで一緒に旅をしたわね? あなたは毎日野営地を探しそこで私の到着を待った。」
「私は火をおこして目印にしました。」
「それと同じよ! ただ今度は私が先に行くの」
「そこは遠いのですか?」
「ええ」
「私に見えるように大きな火にしてください」

駅での別れのシーン
ファラに大事なコンパスを預け
別れ間際に、カレンが
「名前で呼んで」
「はい、カレン様」
主人と使用人の関係を超えた信頼と友情を感じた。

自宅の家財道具を処分してガランとした部屋で木箱をテーブルに1人夕食を摂るカレン。そこに現れるデニス。
「お陰でわかったよ」
「何が」
「孤独」
「そう?」
その後レコードに合わせて踊る2人。最後の別れ・・・
全てを失いアフリカを去る。

A・E・ハウスマンの詩の朗読

終盤、カレンのナレーションの詩が印象深いので記す。

「私にとってアフリカはキリン、その空に横たわる新月、畑の鍬(くわ)の跡、コーヒーの実を摘む汗ばんだ顔。
でもアフリカにとって私は?
平原を渡る風は私の服の色を覚えていてくれるだろうか?
子供たちはゲームに私の名をつけてくれる?
満月は屋敷の前の砂利道に私の影を投げかける?
ンゴング山の鷲は私の姿を探してくれる?」

AFI
2002年:情熱的な映画ベスト100 - 100 Passions 13位
2005年:映画音楽ベスト100 - Film Scores 15位
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