みりお

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のみりおのレビュー・感想・評価

4.1
三部作一気に鑑賞。
それぞれに人生を懸けて、強く前に進む旅の仲間が愛おしく、10時間に及ぶ鑑賞の中で、まるで彼らの帰りを待つ家族のように感情移入してしまった。

アラゴルン、レゴラス、ギムリの男の友情に胸が熱くなる。
刺激を求めて軽い気持ちでカンパニーに加わったメリーとピピンが勇敢にエントやオークに立ち向かう姿に心を打たれる。
そしてこの世の汚いものを何も知らないかのように透き通っていたフロドが、憎しみや迷いや死への恐怖と必死に闘い、それを身を捧げて見守るサムには涙が出て止まらない。

なぜここまでおとぎ話に胸が熱くなるのか。
その答えは期せずして、サムが語ってくれた。
第二部、「二つの塔」の最後の言葉。

「僕はもうダメだ、サム」
「分かってます。こんなことになって。
しかもこんな所まで来てしまった。
心に深く残る物語の中に入り込んだ気がします。暗闇と危険に満ちた物語。
明るい話になり得ないので結末を聞きたくない。
悪いことばかり起こった世界が元に戻ります?
でもこの暗闇もいつかは消え去ってゆくでしょう。
暗黒の日々にも終わりが、新しい日が来ます。
そして太陽がより明るく輝く。
そういうのが心に残る意味の深い物語なのです。
子供の時は分からなくても、なぜ心に残ったのか、今はよく分かる気がします。
物語の主人公たちは決して道を引き返さなかった。
何かを信じて歩み続けたんです。」
「何を信じればいい?」
「この世には命を懸けて戦うに足る尊いものがあるんです。」

そして指輪をこの世から葬り去った後のシーンで、"命を懸けて戦うに足る尊いもの"が示される。
「苦楽を共にした仲間との友情」
「愛する人との抱擁」
「帰りを待ち続けてくれた家族」
「懐かしく温かい故郷」
当たり前だった日常が、どれほど尊いものなのか実感し、ロージーに向かって踏み出し、彼女との子共を抱き上げるサムが本当に愛おしい。

この物語が語りかけてくるテーマはあまりにも広く、深く、かつリアリティを持ってこちらに向き合ってくる。
おとぎ話に収まらない壮大な物語を、勇気溢れる主人公たちで彩り、何世代もの子供達の胸を熱くさせる作品を送り出してくれたJ.R.R.トールキン、そして映画の作り手に感謝の念が溢れ出す。