みかん

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のみかんのレビュー・感想・評価

5.0
剣や魔法のファンタジーでアカデミー作品賞はムリ、という業界の常識を覆し、アカデミー作品賞をはじめ11部門受賞(史上最多タイ)という歴史的快挙を果たした、まさに伝説となった傑作ハイファンタジーの完結編。

二作目の盛り上がりをそのままに、失速することなくラストまで「中つ国」の大冒険を楽しませてくれました。

とはいえ、もう敵の魔物や怪物もパワーアップしてるので大激戦の連続。

残虐さもパワーアップしてたので、ショックで錯乱した某国王の無茶振りで敵陣に突撃した決死隊の結末が自陣に投げ込まれた時、初見では叫びそうになって直視出来ませんでした。。グロいの苦手な方このシーンはご注意を。(というか、物理的に見てもキツいけど精神的にも悲惨過ぎて胸が張り裂けそうになりました。。)

とにかくそんな残酷で恐ろしい強敵たちを命懸けで倒していくアクションのカッコよさはもちろん、(アラゴルンとレゴラスのカッコよさはもう殿堂入りとして)二作目に出てきたローハン国の姫やメリーやピピンも魅せてくれます。

そんな壮大なスケールの戦闘にも圧倒され、繰り広げられるそれぞれのドラマにも泣けてくるんですが、この物語は冥王復活阻止のための指輪を葬り去ることが最終目的、というのがまた深く考えさせられます。

この世界で一番平和的で平凡なホビット族のフロドが、世界で一番邪悪な指輪と戦っていくのもいよいよ壮絶を極めます。

ノーカット版で観て、改めてフロドとサムの旅がどんなに過酷だったか思い知らされました。

公開版の他にも色々危険な目に遭って乗り越えていた上で、「滅びの山」に近づくにつれどんどん指輪の魔力に潰されそうになる満身創痍のフロドや、そんな彼を必死に支え続けるサムに号泣でした。

一方の、アラゴルンの「フロドのために!」。
激アツでした。
レゴラスとギムリの、シリーズかけて育まれた友情もステキです。

そして火口に到着したフロドと指輪の戦いの行方。
最後までピンチの連続で目が離せませんでした。

フロドを最後まで信じて支えた仲間たちの友情には滂沱の涙。

戦いの後も素晴らしかったです。もう感動しかないです。

しかし、ただのおとぎ話系ファンタジーなら大団円で全て完結なところ、ここは流石のアカデミー作品賞受賞作。リアルな心情を描いてます。

原作者のトールキンは、第一次世界大戦にイギリス陸軍軍人として従軍し、日常に戻っても戦争の悲惨な記憶や、戦いで受けた心の傷の痛みは決して消えないということを知っているからこその、フロドの最後の選択。

エンディングは荘厳で深遠な余韻が残りました。

ちなみに音声解説の俳優陣ver.だと、今月の電気代は払ってきた?電話代大丈夫?など茶化していて面白くなりましたがw

本当に壮大なスケールの中、アツいドラマや、人の心の弱さや強さ、愛、勇気、友情など名シーンの連続でした。

重厚なファンタジーの世界に浸りながら、でもリアルの世界でも変わらない人間の本質を突いたメッセージに励まされたり、ファンタジーの世界だからこそ何気ない言葉が寓意的に心に響いたり。

これからも不朽の名作として、またリアルタイムでシリーズ全部公開日を楽しみに観た思い出深い作品として、何度も観てパワーをもらいたい作品です。
みかん

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