シネマスナイパーF

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還のシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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終わった…
おそらく自分の見たものはあの世界の1%ぐらいなんだろう
そう思わせるぐらい壮大だった


またしてもいくつかに別れた道を追っていくスタイルでこれまた今度はそれぞれが長いので、どこに行ってもあっちはどうなってんのよと気になって仕方がない
ただ、そうなっているから3時間半近くの尺を長く感じなかったとも言えるかもしれないし、ゴラムの成り立ちから語るスタイルは物語に芯を持たせてて見事だった
こんな大事な時に何バカやってのよって感じのデネソールさん、人間の男じゃ倒せないなら女ならオーケー、チートレベルの強さの幽霊アーミーなど少々ビックリポイントあるけど一番のビックリポイントはガンダルフ曰く囮作戦には引っかからないだろうということだったのに見事に引っかかったサウロン


まあでもいざホビット庄に帰ってきたのを見るとさ、涙出てきちゃうよ
戦いが終わった後もちょっとどうかと思うぐらい時間をかけて無理矢理余韻に浸らせるのも嫌いじゃないというか、これは明らかに3時間×3+20分という構成
9時間語ってきた内容を下地に伝えたいことを凝縮した後日談を20分付け足した感じ
話としてはシンプルな物語ですが、9時間かけて語ってきただけに登場人物の作り出すドラマが人生の教訓と呼べるほどの説得力を持つ
また、顔をよく映すシリーズだったのもポイントで、感情をよりストレートに観客へ届けようという気骨が見えた

やっぱり物語の持つ役割ってのは大事な教訓を伝えていくことなんだな
この完結編はその点にとても力を入れていると思うし、稀代の傑作指輪物語を映画化するにあたっての志がこれ以上ないぐらい立派だったってことの何よりの証
悪い奴を倒す話で済む話じゃないんだよってのを力強く念押しした素晴らしい精神はもちろん、祖国ニュージーランドの自然を借りて中つ国を実在させ、セットやメイクに妥協を許さずテクノロジーもフル活用し限りなく実在感を持ったキャラクターたちを生み出し息吹を与えた製作者たち、特にピーター・ジャクソン天晴れというほかない
事実、この映画シリーズは絶対的な相手を力で倒すということが目的ではなく、小さい体に秘めた誇りや自分の弱さを受け入れ認めることで体現される真の英雄像などを提示しながら、助け合いや友情、愛を得る旅路の果てで誰もが手にしたい頼りたい強大な力に勇気を持って別れを告げる物語だと誰が観ても理解できるように作られている
これほどのスケールのデカい話でその骨子を崩さずやり通し作り上げたことのスゴさったらないよ


まさに古典芸術のような恐ろしき映画シリーズ
監督の精神が強く、その思いや苦労と物語が一致した映画ってのは間違いないね
良かった
素晴らしかった
最高