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プレッジのnagarebosiのレビュー・感想・評価

プレッジ(2001年製作の映画)
4.5
いわゆる普通の刑事ものとは違うので、肩透かしを喰らった方もいると思います。
ショーン・ペンが監督した本作で彼の才能の豊かさに脱帽しました。
刑事引退まで6時間の主人公が最後に担当した事件により、彼の運命が徐々に狂わされていくさまをじっくりと丹念に描いていきます。なので派手な銃撃戦やカーチェイス、そして意外な真犯人等、定番コースは皆無です。
シンプルな構成だからこその役者達の演技と風景や心象を写し取った描写が際立っていました。
ジャック・ニコルソンはクセが強く偏屈なイメージを持っていたので苦手でしたが、本作と「アバウト・シュミット」でそれが覆りました。それほどリアルで私も共感できる説得力がありました。「ああ、なんかこういう風采の上がらないオジサンっているよなあ」的な感じですかね。衣装もまるでパリッとしていないけどそれなりに清潔感はある服なんか親近感すら覚えました。そして子供に接する時の優しい眼差し!絵本を読んで聞かせるシーンなどおそらく素なんだろうなと思わせるほど、優しいオジサンでホントに意外でした。
脇を固める役者さんがまた渋いけど豪華。ミッキー・ロークのシーンは瞬きを忘れるほど見入ってしまいました。ロビン・ライト・ペンの薄幸感もリアルで同情してしまいました。クライマックスでのあの感情は、私には子供がいませんが、いたら絶対に同じ感情を持ったでしょう。
徐々に狂気さを増して精神が崩壊していくあのエンディングのニコルソンの演技が私の胸にグッと突き刺さりました。
雄大な自然を映し出す撮影が素晴らしく、何気に構図が上手かったです。
音楽がハンス・ジマーですがいつものド派手で壮大でキャッチーな曲ではなく、主人公の心象に沿うようなメロディも良かったです。
これほど良い映画とは思いませんでした!