イチロヲ

ロリータのイチロヲのレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.5
未亡人の住まいに下宿することになった中年男が、妖しい魅力を放っている思春期の娘に惹き寄せられてしまう。ウラジーミル・ナボコフの同名小説を映像化している、エロティック・ドラマ。原作者が脚色を手掛けている。

原作小説は、ニンフェット愛好家として登場する中年男が「自虐を交えながら、自己相対化に努めていく」という内容なのだが、この映画版では少女の年齢が引き上げられているため、原作のニンフェット要素が根こそぎ削除されている。

「人格者の裏側に潜んでいる偏愛心理」と「少女性愛により、身をやつしていく様子」を皮肉交じりにスケッチ。「娘ほど歳の離れた少女を一人の女性として愛すること」を題材に取り上げた、純然たる恋愛ドラマとなっている。

余談だが、本作に登場する少女の愛称がロリータ(名前はドローレス)のため、日本において「ロリコン(ロリータ・コンプレックス)」という言葉が誕生。もしも少女の名前がSandy(サンディ)だったら、サンコンになっていたかも知れない。
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