矢吹

ロリータの矢吹のレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.6
中年女がいい味を出してた、というかは、主人公が絶妙に迷惑そうな演技をするからババアのアプローチは見ていて不愉快だった。最高の賛辞として。引き立ててたなあ。
なによりロリータが魅惑すぎる。あれはいかれるやろ。と思ってしまうと作品としての魅力が落ちちゃうのかな。
でも結局、男はど変態野郎であるには違いない。気持ち悪い。ただエグい性的な描写は省かれてるから、自分の中では、どこか父親像をぶち壊しきれなかった気がする。
当時では暗黙の了解みたいやけど、きっと自分は描かない美学みたいなものに対する意識が低いというのもあって。
だからこういう映画は時代背景としての価値も大切に思う。
51年に出た原作自体が当時は性的な倒錯を描いた問題作で、ロリータも本来はもっと幼い設定で、中年男ももっと変態らしい。61年に封切られたこの映画は66年まで続いたプロダクションコードをもろに受けている。
そして規制によって性的な関係をしっかり深められなかったと、制作側もおっしゃってるとか。
2人の夜や秘密はフェイドで奇妙に、でも確実に表現されてるけど、キューブリックならもっとエグくできたと思うと。
性的な描写なんてアイズワイドシャットでも腐るほどやってるし、時計仕掛けでも相当。ダンスパーティーのシーンや中年男の狂気が現れるシーンでは白黒じゃなく、フルカラーでの演出も見たかったな。

見たのはストレンジラブ以来やけどピーターセーラーズの喋り方と声が大好き。卓球のシーンとかを筆頭にアドリブも多いらしい。怪物。
矢吹

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