みおこし

ジュリアのみおこしのレビュー・感想・評価

ジュリア(1977年製作の映画)
3.5
ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレーブという時代を代表する名女優で綴る実話に基づいた人間ドラマ。作家のリリアン・ヘルマンの回顧録をベースに映画化しているそう。本作でヴァネッサはアカデミー助演女優賞獲得。

女流作家のリリアンとその親友のジュリアは長きに渡り友情を育んできた。引っ込み思案なリリアンとは対照的に、快活でポジティブ、何事も自らの手で切り開いていくジュリアは、オックスフォード大学を卒業した後、反ナチの地下運動に傾倒してゆく...。

ハリウッド映画って、女同士の友情を描いた作品が極めて少ないな、と本作を観て思いました。女子校出身の方はなおさらよく分かるかと思いますが女の友情って、とにかく深い!!本作のジュリアとリリアンの関係もそれくらい深いものでした。
自分と対照的な友人って、とにかく尊敬の念というか憧れを抱くけれど、リリアンはまさにジュリアに対してその思いが強い。1つ1つのセリフや表情にジュリアへのリスペクトがこもっていて、これこそ本物の友情だなぁ...と。美しい。
気づけばジュリアは、リリアンの理解を遥かに超えた世界の第一線で活躍するようになっていて、一緒にベッドルームで会話を交わしたあの頃が嘘のように成長していた。あの時再会していたら何か違ったのかな、とか。あの時こう言えていたら、とか。色んな後悔の念を背負いながら、リリアンもまた成長していきます。

メールも電話もラインも簡単に飛ばせて、みんながみんな外国や地方に出かけていつでも会える時代の私たちとは異なり、今どこで何しているか見当もつかないし、もう二度と会えないかもしれないっていう恐怖と常日頃戦わなければいけなかった時代。それがナチの暗躍する戦時中だと思うと、なおさら想像を絶します...。
だからこそ、ジュリアとリリアンの2人が同席しているシーンが胸に刺さる。視線の投げ方や手の握り方までとにかく気持ちがこもった2人の演技にウルっとすること間違いなし。現代の友情や絆、という物差しで観てはいけない作品でした。
ジェイソン・ロバーツがリリアンと同棲中の彼氏を演じていて、言葉数は少ないですがかなりの存在感。本作で彼もオスカーを獲得していますが、「背中で魅せる」演技ってこの人のことを言うんだろうなと思いました。渋い...(笑)。

何か激しい展開があるかと言われるとそんなこともないし、最初から最後までとにかく静かな映画でしたが、観終わった後の余韻がじわじわ来て、また見返したくなりました。まさに秀作!!
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