河豚川ポンズ

アクション・ジャクソン/大都会最前線の河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

3.7
80年代の雰囲気とノリ全開なアクション映画。
カール・ウェザースがハーバード大卒ってキャラ付けはちょっといくらなんでも無理がないだろうか。
まだドルフ・ラングレンがマサチューセッツ卒って設定だった「エクスペンダブルズ」の方が説得力ある。

全米を支える自動車産業によって一大都市へと発展した、ミシガン州デトロイト。
市民たちからは“アクション・ジャクソン”の異名で恐れられる、デトロイト市警の刑事ジェリコ・ジャクソン(カール・ウェザース)は、独断専行の捜査が度重なり、署長(ビル・デューク)から巡査部長への降格を言い渡され、拳銃の携帯許可も取り消されていた。
しかしそれで止まるはずのないジャクソンの元に、今起きている自動車産業界の大物の連続殺人には、業界の大物であり、ジャクソンにとって因縁の相手でもあるピーター・デラプレイン(クレイグ・T・ネルソン)が暗躍しているとの情報が入る。
何とかして彼の妻であるパトリス(シャロン・ストーン)からそれらの犯罪の証拠を確保しようとするが、デラプレインの策略によりパトリスは殺され、さらにジャクソンはその殺人の濡れ衣を着せられてしまうのだった。


Blu-rayはもちろんDVD化されないままでいたのに、なぜかある日突然Amazon prime videoに彗星のごとく配信され始めたと聞いて、実はすごい映画なのでは?と勝手に思ってた。
いや、実際想像以上にすごかったけど、思いきりが良すぎるというか、端的に言えば馬鹿映画というか。
元陸上選手でハーバード大卒、市民からは“アクション・ジャクソン”の異名で知られる刑事が、デトロイトの自動車産業の闇に立ち向かって行く…と言えば聞こえは良いが、そこには火薬の量を間違えたとしか思えない爆発シーンやアメコミ超人ばりの身体能力で暴れまわるカール・ウェザースの姿。
諸事情により署長から拳銃を取り上げられても何のその、ひき逃げしようとした車に走って追い付き、銃を構えた相手にぶちギレて車で突っ込ませ、さらにその突っ込んできた車を文字通り飛び越えて見せる。
当たり前のようにビルの上階から飛び降り、建物内をスポーツカーで爆走して敵を追い詰める。
おかげで街のチンピラは彼を見ただけで恐怖で失神する始末。
元陸上選手で説明するには人間離れし過ぎてるし、そりゃ警察署長も怒るし、いっそもう拳銃無い方が街は安全じゃないだろうか。
熱い思いを持った黒人が世の中の理不尽(主に敵は白人)に立ち向かって行くというのは、「黒いジャガー」よろしく、典型的なブラックスプロイテーションなんだけど、どうもこの映画にはそれどころじゃない、その言葉1つで片付けてはいけないような何かが詰まっていた。

「プレデター」「コマンドー」でお馴染み、一度見たらなかなか忘れられない顔のビル・デュークが冒頭からいきなり出てきたかと思えば、「Mr.インクレディブル」のクレイグ・T・ネルソン、プリンスのバックアップメンバー「Vanity 6」のヴァニティ、そして「氷の微笑」のシャロン・ストーンまでとよく分からないけど局地的にウケそうな豪華さ。
監督は「プレデター」の第2班監督してたそうだからと聞くとなんとなく納得。
まあそれも最後には半裸で火炎放射機を構えるカール・ウェザースに全て霞むんですけどね。

そうは言っても話の筋はなかなかにユルユルなので傑作アクション映画とは決して言えないけど、たまには気分転換で癖の強い映画が観たいという人には、2日で200円という値段でぴったりオススメです。