Bellissima

郵便配達の学校のBellissimaのレビュー・感想・評価

郵便配達の学校(1947年製作の映画)
4.5
《タチ映画祭/プログラム5》「フォルツァ・バスティア'78/祝祭の島」「郵便配達の学校」「のんき大将 脱線の巻【完全版】」@渋谷イメージフォーラム 

『祝祭の島』コルシカ島で行われたサッカー決勝戦での熱狂する市民の様子(祭り前の高揚→祭中の狂騒→祭りの後の郷愁)をパッケージしたドキュメント。よほどのコアなタチファンじゃないとちと退屈かな。タチが何気に被写体に選んでしまうのがカメラを向けても構えないリアクションをするお婆ちゃんと子供なのがらしい。

『郵便配達の学校』楽しい万歳作!スラップスティックコメディの基本中の基本《動線》誘導視線と《見得》だけで出来てる。ここでいう「見得」とは動作の高揚が頂点に達したとき一瞬動きを止め一定の姿勢をとるキメポーズ。自転車を降りる時もズッコケる時も飛行機を見送る時も「見栄を切る」。タチの一連の動作が歌舞伎に由来している発見! 

『のんき大将 脱線の巻』フランス片田舎の夏祭りの様子を点描。劇中に「郵便配達の学校」のシーンが2次仕様されている。本編映像にサンプリングされたそちらの動きを上回るシーンが見当たらないのが残念。語り部やほのかな恋愛などを入れたりしているが水増し感は否めない。人物配置 構図の黄金比率は既にこの時点で完成しているのがお見事。

で、この3本「祝祭の島」と「のんき大将 脱線の巻」が同じ構成(高揚→狂騒→郷愁)になっている。間に入る「郵便配達の学校」は祭の狂騒だけを強調し抜き出したものと考えていいと思う。この3本の並びが実に理にかなっているので感心。プログラムを組んだイメフォさんに拍手。
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