奏良

地下水道の奏良のレビュー・感想・評価

地下水道(1956年製作の映画)
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「抵抗三部作」2本目

「彼らは悲劇の主人公だ。注意深くその悲壮な最期を見よ」って始まるの不穏でしかないけど、彼ら自身も死ぬことを覚悟していたんだとわかった途端に現実味出てくる。絶望的な状況で各々が生を意識した行動をとっていて結末までの地下水道パートが評価されてる意味に納得した。これが観たくて三作通して良かった。全部良かった。

ザドラに嘘をつき続けたクラや鉄格子を見たデイジーの最後の優しさは限界になった人間の表れとして見応えあったし、ハリンカが可愛かった。でもハリンカはあの地下水道で唯一の希望としていた人に裏切られたわけで、自決を覚悟するまでの躊躇のなさが絶望を体現していたと思う。あそこまで行軍したことですら覚悟が決まっていたのに、その覚悟の行方を断ち切られるということが即虚しい最期に繋がるのが辛かった。また、ザドラが再びマンホールに潜っていく姿も諦めていない姿であって、抵抗を冠する作品においてこれ以上ない美しさだったと思う。
ポーランド軍はドイツ軍に抵抗し続けたことを表しつつ、力の差で敗戦したことや市民が参加したこと、各自が屈服する他なかったという反乱がかなり伝わってきて重めではあるものの、素晴らしい作品に出会えて嬉しい。
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