広島カップ

栄光のル・マンの広島カップのレビュー・感想・評価

栄光のル・マン(1971年製作の映画)
3.5
車に関して素人の私が手を出してはいけない作品ではなかったかと思っています。
車大好きな方にはおそらく堪らない内容の作品で、私にはとても解らない嬉しいポイントがきっと沢山隠されていたのではないかと思います。
なので車大好きな方は本レビュー見送っていただいた方が無難かと思います。

そもそもル・マン24時間耐久レースとはどういうものなのか知らずに観ても大丈夫なのか心配だったのですが、冒頭のレース開始前のシーンで手際よく説明がありホッとしました。
一周約13.5kmのコースを24時間ひたすらグルグルグルグル自慢の車(マシーンと言った方がいいのか?)で突っ走り、誰が一番長く走ったかを競うレース。

とにかくマシーンをブッ飛ばすシーンのすさまじいこと。動体視力の悪い方は正に瞬き厳禁!

24時間も走るんだからスタートくらいはマラソンのようにおもむろに始まるのかと思いきや、溜めて溜めて溜めてバァァ~ンと一気にトップスピードで飛び出します。
発車時刻まで一秒ずつ刻まれていく静かな時間表現がレースの緊張感をいやが上にも盛り上げます。
直線部分を「エーイ、ヤケ糞ダアッ」となってブッ飛ばす!
排気ガスもダスダスダスダス大量に出す!
爆裂エンジン音なんか「ワテのが絶対一番やで!」という調子で競って盛大に出しまくる!空気を切り裂く音やドップラー効果も味方につけて聴覚的にも大迫力!
まるで有馬記念の中山競馬場の如く駆けつけた観衆はまさかマシーンと一緒に移動して観るわけにいかないので、目の前を光のようにホンの一瞬通り過ぎるのを観るだけでしょうけど、その一瞬のエネルギー量が莫大なので耳を塞ぎながら観ていても大満足の様子。
クネクネとS字状にわざと嫌がらせをするように作られたコースの部分では、マシーン達が「チキショーもっとやりたいようにやらせろよ!」とフラストレーションを溜めつつ通過しているように見えます。
ひたすら突っ走りたい野獣のようなマシーン達をこのように擬人化して話しても許されるようなドラマチックな光景です。

同じくグルグルグルグル回るアイススケートショートトラック競技のように互いに嫌がらせをし合うような場面が見られずにフェアなのが好感が持て、レース結果も納得のいくものでした。

全体に役者のセリフが少なくマシーンに大いに語らせているようで、寡黙にレーシング服を纏ったマックイーンの男っぷりが上がりました。
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