クロ

紙の花のクロのレビュー・感想・評価

紙の花(1959年製作の映画)
4.7
いい映画だった。骨格はメロドラマだが、恋に落ちる二人がどこまでもお互いを思いやり優しさを失わない。そしてつつましさを貫くがゆえに二人は添い遂げられない。監督は実生活のワヒーダー・ラフマーンとの悲恋をひきあいに出しており、その孤独を詩情豊かにそして深い悲しみと諦念を湛えて描く。シャンティはとても美しく、茶目っ気が有り、しなやかさと芯の強さを備える女性で、監督への情熱を静かに抱き続ける姿が素敵だった。ミュージカルの要素は制作会社の強要だったらしく、虚構と現実の監督の姿が重なり一層悲哀が募る。
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