タラコフスキー

紙の花のタラコフスキーのレビュー・感想・評価

紙の花(1959年製作の映画)
3.7
グル・ダットについて初めて言及するってのに遺作からってのは我ながらどうかと思うものの、タイミングが合ったのがこれだけだったからしょうがない。

はっきり言うと、映像の質感や演出としてはサタジット・レイやリトヴィク・ガタクの方が情感があって好き。(グル・ダットも決して悪くないとはいえ)

最初のシーン見たときは市民ケーンや8 1/2みたいに質の高くて優美な映像を織り合わせた傑作になるかと思いきや、ドラマ性重視で描写も成瀬やフランク・キャプラみたいな情報処理的なものも目立っていたので、途中気が抜けて眠りに就いてしまう箇所が多々あった。

でも映画スタジオのシーンの大半やミュージカルシーンの多くは光が有効活用された叙情的なものとなっていて、そこはインド製ミュージカルの元祖らしい出来栄えで満足のいくものだったが、それだけにドラマよりもっと映画の撮影描写に重点を置いていたら大傑作になっていたろうに勿体無い。

とはいえ、グル・ダット自身が演じた監督が犠牲になる映画界の過剰な商業主義の描写には、プロデューサーら守銭奴への文句のように思えるところもあって面白かったのだけど、グル・ダットが後年自殺するのはもしや主人公が抱いた絶望を同じように感じてしまったからなのだろうか。