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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!のHKのレビュー・感想・評価

3.0
クレヨンしんちゃん映画シリーズ第15作目。監督は同じくムトウユージ。キャストは矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ、真柴摩利、京本政樹、戸田恵子などなど

ケツだけ星人なる一行が、迫る隕石を破壊するために投げつけた爆弾の一つが沖縄に落ちた。沖縄に家族旅行をしていた野原一家だが、その爆弾を見つけたシロの尻に爆弾がはまってしまう。この爆弾は地球一個破壊できる強力な爆弾なため大変なことに…

クレヨンしんちゃん映画シリーズでここまで悪い意味で馬鹿げて飽きれたオープニングカットはない。ていうか、私の笑いの感性と直感で合わないであろうと判断できた。何だよケツケツケツて、あほか!

ここまで露骨だと流石の自分もやはり嫌悪感出してしまいましてね。それでいてミュージカルパートというのが、前編はとても多くて、それでもって本当に中身がないというか、ただ単純に冗長な時間稼ぎに見えてしまうのだから不快でしょうがない。もっとちゃんとしたものよこせ!てなりますけどね。

今作で、はじめて飼い犬のシロとの絆に着眼点が置かれたのはとても良かったんですが、しんちゃんがシロと逃避行するところは、なんか引き込まれず。しんちゃんの泣きの美学、絶対に真正面を見せない所は良かったんですがね。でも、これまで当たり前の存在だったシロを綺麗ごと抜きに守り抜こうとするしんちゃんの描き方は良かったような気はしますよ。

いざ捕まるの覚悟してシロが過去の思い出振り返ったらほぼ悪い記憶しかないというのも良かったかなと。ただ、やっぱり泣かせがあざとくなってますね。今作のシロとの別れのシークエンスはまだまし。

この後の研究室での野原家のやり取りとかも含めて同じようにエモーショナルに描く所が多いのが、やっぱりこの映画の難点。

あと全体的に考えてもギャグも演出がくどいし、つまらない。春日部防衛隊の皆とシロを守るために逃げるシークエンス。しんのすけが喋ろうとすると敵が見つけて、また皆で逃げる。また途中で見つかって逃げるというのを繰り返すんですけど、これがくどい。それでいてつまらん。

後半になれば確かに比較的物語は盛り上がってくるんですが、どうも作品全体に流れる冗長な雰囲気作りから脱したとは言い切れない。やはり、「シロおおお!」て叫びながら突っ込む野原家の姿がどうしてもくどい。くどすぎる。

今作の敵グループは二つ、UNTIとひなげし歌劇団。ひなげし歌劇団の宝塚感はとてもいいんですけど、どうもあの映画で出す必要があったのかと思うと疑問。まあクレしん映画でこいつでなくてもいいんじゃねなんてキャラいくらでもいますが、なんか出す必要性というのを感じませんでしたね。

それに宝塚ミュージカルも良いとは言っても、歴代のクレしん映画のミュージカル描写と比べるとやはり長いしくどい。戸田恵子さんが頑張っていますが、どうも冗長になってしまう。

あくまでお駒夫人は、終盤のロケットに閉じ込められても追いかけっこになることによってシリアスな雰囲気にならないように投入しただけのキャラにしか見えん。

京本政樹さんが計算高い長官役としてやっていますが、声優としてはどうしても声がハスキーすぎて聞き取りづらい。メイン級の役はやらせないほうが良かったかもね。これだったら、ミッチーとかにやらせた方が良かったかも。一応劇中では必殺リスペクトも取ってつけたようにあるけど。

ただし、今作で唯一リピートできる箇所がある。ひなげし歌劇団の三人娘だ。特に緑の子がいい。マサオ君が羨ましい。あの後すぐにしんちゃんに飛ばされるのは笑える。あそこで何杯か行ける。そのために見ることは出来るかもね。

いずれにしても見れて良かったと思います。これでムトウユージ監督時代は終わりました。もっと作品作り続ければ良い作品を残せたかもしれないのに残念。
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