シゲーニョ

ファイト・クラブのシゲーニョのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.3
一言で申せば「管理社会・消費社会をぶっ壊せ!」という映画か。

現実社会の価値観から疎外された輩が、別の価値観を持つ他者と出会い、刺激され、裏ネットワークを構築するといった映画は、クローネンバーグの「スキャナーズ(81年)」とか「ビデオドローム(82年)」など、これまでにも多少あったが、それらと一線を画すのは、ブラピ演じるタイラーの魅力に尽きると言ってもいいだろう。

タイラーは、社会をダメにしている物質主義へのテロ、革命の扇動者であるわけだが、その行動は本気なのか遊びなのか・・・正直、面白半分にヘラヘラやっているようにしか見えない。しかし、その実、大事なところでは、聴いているコッチがグッとくるような金言を言い放つ。

不眠症で終始ダウナーな表情の主人公の手に、苛性ソーダを浴びせて火傷させるシーンでの台詞。
「痛みを感じろ!苦しみと犠牲は尊いんだ。痛みから逃げるな。人生最高の瞬間を味わえ!」

他にも「自分の殻を破るには、まず自分を壊すしかない」「本気で戦ったことがない奴が、本当の自分なんてわかるわけがない」「完璧なんてない!完璧を目指すのはやめろ。それより進化するんだ、どんな結果になろうとも」など名言は沢山あるが、意外にも心に一番響いたのがコンビニで働く医学生レイモンドを銃で脅す際に吐いた言葉。

「獣医になりたいんだったらもっと勉強しろ!名前は覚えたから、夢を実現させるためにお前が努力しているかどうか俺は毎日チェックし続ける。サボっていたらぶっ殺すぞ!」

見終わった後、ちゃんと自分は生きているのか、考えさせられた映画である。

最後に・・・

レイモンドは翌朝、最高の朝飯を食べたと思いたい。