おソノさん

ファイト・クラブのおソノさんのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.7
余韻が残りまくってて、それこそグーパンチで殴られた頬がずーっとじんじん痛いみたいな。鼻血も出てる気がする。

なぜ殴り合うのか?
がん患者の苦しみや痛みを目の当たりにしなきゃ安らぎを得られなかったり、手を焼かれて激痛に襲われなきゃ生きてる実感わかなかったり、後頭部に銃を突き付けられて脅され、そこから解放されなきゃ朝ごはんが最高に美味しいと感じられなかったり。
死と向き合うことがない日常じゃあ、生を感じられない。
煙草吸いながらそんなこと言う男はむちゃくちゃかっこいい。実在するテロ、犯罪組織の動機がそんな理屈だったとして、そんなの当然許せないんだけど、自分の中の感情の破片と外部の何かの歯車が合ってしまったとき、人は破壊行動に出てしまうんだなって、ポカーンと口開けながら思った。
戦争もない時代、殴り合いじゃないにしても「必死で」生きることにどこまで自分から近づいていけるか?組織やモノに埋もれないで、ごまかさずに、どこまで本気で生きられるか?腑抜けのわたしにはいいパンチでした。

さすがフィンチャー監督、最初から最後まで映像も音楽も全部かっこよすぎる。ラストに一瞬映るアレも超重要な演出!(一時停止してしっかり観た。)

珍しく字幕、吹き替え両方で鑑賞。字幕のほうが好きだけど、タイラーについては吹き替えのほうが表現の広さがハマってた気がする。最後のセリフ、「水臭いぞ、友よ」なんて、なんかいいですよね。