一夢

ファイト・クラブの一夢のレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.3
世の中には究極の二択が存在する。カレー味のうんこと、うんこ味のカレーのように…。『セブン』と『ファイトクラブ』はどちらが好きか?という質問は自分の中では永遠の課題となっている。初体験補正が大きい人間のため、僅差で本作が好きだけど、本当に甲乙付けがたい。一番好きなドラクエも、初めてプレイした5だ。

野生と知性が味わったようなワイルドさを備えたゴリラと化したブラピの魅力無しにこの映画は語れないだろう。本作の最大のオチである部分が、原作の小説だとモロバレと言って良いくらい隠しきれていないので、こちらはオススメしない。

物質主義に塗れて腐敗した現代社会にウンザリした男達が夜な夜な自分達の拳を振り上げて戦う秘密のクラブが、だんだんと肥大化していく様子はただただ不気味でしかないし、喧嘩のシーンや傷の生々しさは苦手な人も多いだろう。

自分はこの映画のラストシーンが大好きだ。自分を取り戻した主人公とヒロインが、ようやく本当の自分同士で向き合えた瞬間、眼下でビルが次々に崩れ落ちていき、美声なんだか気色悪いんだかよく分からないブラック・フランシスの歌声が流れるシーンはとても美しい。破壊の中から再生が生まれるというメタファーのようでもあるし、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか判断に迷うところが特に好きだ。某休載漫画のシーンが頭に浮かび、「タイラーさん、聴こえますか?おれ達から貴方への鎮魂歌です」という台詞がどこからか聞こえてくる。
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