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ファイト・クラブのRのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.6
いつ見てもめちゃくちゃ面白いけどノレるときとノレないときがある不思議な映画である。初めて見たのは大学生の頃で、人生一の長期休みにこんなもん見て真に理解できるわけがない。その後も何回か見た。死ぬほど面白い!と思う時もあったが、この度はそれほど熱っぽくはならなかった。が、すごい映画であることは確か。エドワードノートン演じる主人公「ボク」は、毎日大企業でぜんぜん面白くない仕事をし、その報酬として得たそこそこのお金で、カタログの家具を買い揃え、ブランド品を身につけ、スタバのコーヒーを飲みながら生活してる、資本主義の申し子のような人。これを見て、ボクは、先日とあるバーで、バーテンさんを通して知り合った33歳の男子を思い出していた。会社で営業系の仕事をしてて、3度転勤してるため周りに知り合いがおらず、毎日朝から晩まで会社で働いたあと、バーに飲みに来るらしい。週末は何してるの?と尋ねると、ほとんど寝てて、起きてるときはゲームをしてる、とのこと。おいおい、リアル「ボク」ではないか。もう少し程度がひどい気はするが。ひたすら労働と消費を繰り返して、資本主義を支えるためだけに生きてるかのよう。あなたは一体何のために生きてるの?ときいてみたい衝動に駆られたが、それはやめといた。本作はまさにそういう生き方にこそ揺さぶりをかけてくる映画だ。自分の生き方を自分で決めることなく、気づけば何となくすべて決まってて、ホントはやりたくもないことに多大な時間を消費する。自分がいつか死ぬなんて、ひと時も考えることがないから、そのループから抜け出そうとすることもなく、自分の感覚をいろんなもので誤魔化し、麻痺させ、ずるずる生き続けて、気づけば病気、老化、そして死が迫ってくる。ブラッドピット演じるタイラーダーデンは、自分に痛みを与えることで生きてる実感を得る、というコンセプトをベースに、ファイトクラブを作り上げ、夜な夜なパブの地下でファイトを繰り広げる。徐々にカリスマ化していく彼は、プチテロ活動を扇動するようになり、やがてプロジェクトメイヘムという壮大な計画の準備をするため、ファイトクラブをカルト組織化していく。世界の絶対的価値である金へのメタフォリカルな破壊を仕掛けるのだ。そのすべての根底に、「ボク」に向けて、自分の死を意識せよ、自分の真実に目覚めよ、とのメッセージが横たわっている。また、タイラーダーデンは多分にニーチェ的であり、弱者に対する視線は冷徹で、淘汰されて当然のものであると考えているようだ。そして、ダーデン自身の考える強さの象徴がダーデンという存在そのものなのである。ボクは毎朝毎晩、自分が死ぬことを考えるようにしている。死ぬことを意識してないと、生きているということをはっきり意識できないし、死ぬことを理解しないで、生きることを理解することはできない。死ぬことを忘れると、何が一番大事なのかを忘れてしまう。友人に会うときはいつも、死ぬまでにあと何度この人に会えるだろう、と考えるようにしてるし、考えてしまう。なので、死に目覚めよ、というダーデンには諸手を挙げて賛同する。が、彼の言ってることすべてには賛同できないし、人生の意味や意義や幸福を形づくる不可欠にして決定的な視点が、明らかに欠如している。本作を見て若干のモヤモヤを感じる人がいれば、きっとそれが原因だと思う。が、まぁええわ、それはここでは語るまい。眉間にしわ寄せてそんなジバリッシュを考えなくても、様々なビジュアルエフェクトや、ブラピの信じられないようなナイスボディ、ハイテンポで目まぐるしいストーリー展開など、何もかもが最高にエキサイティング! ツイストの効いたビリビリ脳髄撹乱展開が行き着く果てがまさかの半立ちオチンコだとは!!! ステキすぎる!!! アレはブラピのモノなのか! ノートンのモノなのか! 誰のモノなのか!!! チン利きマスターの方! いらっしゃいませんか!
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