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ファイト・クラブのsoffieのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.0
1999年劇場公開

デビッド・フィンチャー監督作品

この映画を観るのは5回目
最初は、私の好きな女優ヘレナ・ボナム・カーターが出演しているので観た映画。

20年間で5回観ていると、だんだん見方も変わってくる。

ブラピの映画だな〜
エドワード・ノートン病んでたんだな〜
軍隊形成映画だな〜

…などそのつど新しい感想が出てきたが
今回、観た時は

「これは男の人の理想の生き方なんだろうな」と初めて思った。

そもそも、ブラピ演じるタイラーがエドワード・ノートンの理想を描いているのだから、最初からそれに気付くべきだったのかもしれないが、
今まで「男の理想の生き方」に全く興味が無かったので気付かなかった。

今回は自分自身が自粛生活の中、家の中にある物とじっくり対面してみると、まぁ物が多い。

映画の主人公も、通販で風水なども気にしながら、オシャレで長く持ってても飽きない家具を揃える事で自分自身の中に溜まるストレスを和らげているつもりだったと語っているが、生まれ持った男の闘争本能が通販家具で本当に和らぐはずは無い。

私は長い間、男性が「僕、ケンカ強いんですよ」とか「アイツはケンカが強いから凄い」という言葉を聞くと
「それが人生の何に役立ってるんだ?!」という疑問があった。

体育会系の家族の中、12歳から欧米人の中で生活していた私の兄は、東洋人は身体が小さいから馬鹿にされがちで、さらに日本人はカラテが出来るという彼等の思い込みに打ち勝つ為に異種格闘技を習得していたので、「女子は力で男に勝てないから、襲われた時の技の返し方と抜け方を教えてやる」と言われて随分練習させられた。

個人的にそんな経験があるので、ケンカが強くても、相手が格闘技が出来たら秒で負けるじゃん。と思っていたが
今回、ファイトクラブを観て
ケンカが強いという事は「男としての尊厳や存在価値」を自分自身で高めるひとつのプライドなんだとやっと分かった。

だから「ファイトクラブ」に集まる連中は、社会的には決してエリートでは無いが、本物のガチンコで出来た肉体と、言葉では無く強さで存在価値を示す事が出来る事は生き甲斐になるんだろうと思った。

そう思ってタイラーを見てみると
ただ強いだけではなく、殴られて、殴られて、血まみれになっても笑っている事で相手が怖がって結局タイラーの言うことをきいてしまうようなシーンは、ケンカの強さだけではなく、肉体と精神力の強さが尊敬を集めるのだろう。

ボロボロの廃墟に住み
物に執着せず
常に目的を持ち行動する決断力
でも収入源は確保している
そして見た目がブラピで
殴られても蹴られても決して意見を曲げない。

戦後の反社会勢力で名を馳せ
少年漫画「刃牙」の中で「花形薫」として描かれた実在した人物の事を書いた文章を読んだことがある
その内容がまさにジャパニーズ「ファイト・クラブ」
「本物のヤクザが名前を聞いただけで震え上がり、泣く子も黙る恐ろしさ」とにかく素手ゴロの喧嘩が強くて、普通は「勝つか負けるか」が勝負だが、
彼の場合は「一発目で倒すか二発目で倒すか」が話題になった絶対に負けない男
刺客にピストルで打たれて拳と腹に銃弾を受けて倒れたのに、刺客が「死んだ」のを確かめて立ち去るとしばらくして起き上がり、一人でタクシーに乗り病院で処置を受け、医者が止めるのも聞かず女と一緒に夜の街に消えていった。
異名が「狂乱の貴公子」とか「大江戸の鬼」と呼ばれた男…
まさに漫画のキャラかなと思うような伝説が書かれていた、
時代背景を考えるとそんな人が実在したのも納得出来るが、この文章の最後には

「その男にどんなマイナス点があったとしても、強い男というのはとにかく魅力的である」
と締められていた。

これを読んで「男のことを男が書いた文章だな」と思った。
まさに「男惚れ」
腐女子が読んだらすぐさま薄い本の制作に取り掛かるくらい男くさい。

強い男はそれだけで存在価値がある!と言うことなのだろう

強くてカッコイイ男とは
戦う肉体と必要な時に必要な物を用意出来る甲斐性があること。

一方向から観た主人公は物凄くカッコイイが、別方向から見たらそれはヘレナ・ボナム・カーター演じるマリアから見た主人公になる。

いつも顔や身体に酷いアザがあり
情熱的な一夜を過ごしたかと思ったら
翌朝「ここで何をしている!?」と真顔で問われ。
会いに行ったら「彼はいない」と本人から言われたりする。
😱こわ!!

男目線のカッコ良さの究極版がタイラー。

作中に「精神病院で生まれて、1日1時間しか眠らないらしいぜ」
「ヤバいな、スゲー!」
という会話があるが、「小学生かよ!?」と思ったが…、「男のカッコ良さ=ヤバさ」みたいな公式がきっとあるのだろう。

この映画の監督は「エイリアン」を撮った監督なので、ドロドロ、ヌメヌメ、ニチャニチャした感じを出すのが好きな監督。
エイリアンがシューシュー言いながら酸のヨダレをドロドロしてたのを思い出すと、ほんのワンシーンだが、痩身整形病院のゴミ捨て場に潜り込み脂肪を盗むシーンで、袋が破けて中身が出てきた時のドロドロ感がやたらリアルで気持ち悪かったり、撃たれた団員の帽子を取った時の中身がドバッと出た時の😱な場面などはデビッド・フィンチャー監督のこだわりが見える

ファイトクラブのメンバーで銀髪のタイラーのお気に入りBABYフェイスをジャレッド・レトが演じている。

タイラーのお気に入りということで、エドワード・ノートンにボコボコに殴られるのだが、耐えて忠誠を尽くすあたり
「アレキサンダー」のへファイスティオンや、「ロード・オブ・ウォー」のニコラス・ケイジの弟役などで主役のお気に入りキャラを演じてるのを思い出した。

鍛え抜かれた肉体と可愛い系のお顔、控えめな喋り方が印象的。
「ダラス・バイヤーズクラブ」ではMTFの役でずっと女装しているが、脚が綺麗で見惚れてしまった。
「ファイトクラブ」ではほとんどセリフが無いので、ジャレッド・レトの贅沢な使い方だなと思った。

タイラー・ダーデンは男が惚れるカルト・キャラクター

彼が着ている赤い革ジャケットが欲しい。

また、しばらくしてから観たら、新しい事に気付くかもしれない映画。
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