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サイレンサーのペジオのレビュー・感想・評価

サイレンサー(2005年製作の映画)
4.2
究極に変な映画ではある
「殺し屋の物語」という典型的な「B級映画」の筋運びを期待すると、大いに裏切られる
登場人物の関係性が特に変なのだが、そこに妙な生々しさがある
その生々しさと、本作が「家族」についての映画であることは、本来であれば相容れないものになりそうだが…

主人公が殺し屋であることや、その依頼人が誰なのか…「えっ、コイツら○○すんの?○○しないの?」…普通の映画なら引っ張りそうな事実を「とりあえず受け入れた」上で登場人物たちはサクサク物語を紡ぎ続ける(この辺のエピソードの取捨選択の歪さも変な映画である印象を助長させる。)
その為に台詞で語られない「感情」が劇中ずっと上乗せされ続けているおかげで、「純文学」の様な雰囲気が生まれているのがこの異様さの正体だと思う(役者は皆それらのニュアンスを込めた芝居ができる芸達者ばかりだからこそ成立していると思う。)

同監督の『ペーパーボーイ』でも感じた映像の「湿り気」(と独特の色使い)が一番際立つのは、こういう異様な物語だと理解してやっていると思うので、結果すごく面白い
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