雨丘もびり

悪人の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
5.0
見終えたあとは、沈黙が相応しい。
ひとりでじっくり観れて良かった。
誰かと観て、そいつが間を持たせるために口を開いたら、私、こころのスパナを振り上げる。
   
.....きっツ。
片手間には観れず、じりじりした話運びに見入ってしまう。
で、あんまり辛くて一時停止して、また観る、みたいな。
軽く7回くらい、オエってなる(*'▽'*)。
     
善悪の判断に自信がある人は、この映画どう観るんだろう。
見下して嗤って生きてる人は、どう観るんだろう。
    
祐一に、「道」のザンパノが重なる。
.....なにかの途中。途中の男なの。
混乱して、踏み外して、やっぱりわかってなくって。
判からない他人がわずらわしく、解からない自分が鬱陶しく、ぜんぶ厭になって独りになりたがる。
優しさの発揮しかたが、完全に真逆。
描写に容赦無さすぎでしょ。
   
親なんてのは、莫迦なモンで.....さ(悩)。
知らない方が、良いことも。って書いてしまうと酷だ。
"自分には失うもんが無いっちゅうて、強くなった気になって、自分は余裕のある人間って思いくさって、失ったり欲しがったりする人を馬鹿にした目で眺めとぅ"実娘のこと、悪く書かれんばい。
これ以上傷つけなくても。。。
     
正気を保ちたいセックスが悲しい。
日常を取り戻そうと足掻く言動が哀しい。
   
妻夫木ってこんな顔するんだ("O")。でも納得、これは瑛太じゃだめ。
深津絵里の佐賀弁かぁいい。
でも、ちょっとでもスイッチ入ると大女優感が出ちゃう(希林さんは凄まじく出ない)。
でも、そのくらいで良い。もし寺島しのぶとかだったらヒリヒリが過ぎるもん(泣)。
     
すさまじい群像劇。深く残るドラマ。
なおかつ、観客に致命傷を負わせないバランスもとっていて、見事だと思った。
大仰な感動演出も、本作には必要な緩衝材と感じる。だから、久石譲はナイスセレクト。