てんやもん太郎

悪人のてんやもん太郎のレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
3.1
前半は名作の匂いがプンプンするのに、後半失速、、、

とにかく脇を固める俳優がみんな凄い。
満島ひかり!あんな短時間でちゃんと必要な役の多面性をみせた。
いい娘であり、女友達に見せるいい面、悪い面、男に対するいろんな態度。
これを説明してる感じがないのがマジで凄い。

柄本明、樹木希林、光石研、余貴美子、松尾スズキ、塩見三省、でんでん、モロ師岡、山中崇史は言うまでもない。豪華〜!!

男女の逃避行の話ってどうしても先が見えてるし、途中でダレるのはしょうがないのだろうけど、、、
そうなってくるともう、主演の体力勝負になってくるというか。
で、妻夫木くんはやっぱ体力がなかった。
その役が抱えているモノの、量、質、濃さ、が足りなかった。
如何しようもない孤独、憤り、悲しみetc、、、
が、薄い。
役作りの深度が足りないのだろうか。
そもそもの人柄、個性もあるだろうけど。

二人はドラマでも共演してるし、お似合いなんだけど、カワイイんだよな。
ハートウォーミングなんだな。
深津絵里も、ゾッとするような瞬間がない。狂ってないと、異常な執着がないとどうもなぁ。
エグ味、苦み、酸味、が足りない。
目を覆いたくなるような人の嫌な部分が少ない。

主演の凄みが足りないからか(演技力とは関係なく)、なんかやたら映像がなんとか煽ろうとしてるのか、それがさらに冷める。

もしそれを払拭するには、やっぱスタートで、もっとエゲツない殺し方をするしかなかったのでは?そんなことでそこまでカッとなるか?そこまでボコボコにするか?
突発性みたいなものが案外弱かった。
容赦なさも弱かった。
どうしようもなく選択してしまう愚かさみたいなものが、、、

やっぱまろやかなんだな。

んー、なんか勿体無い映画だなー。