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愛しきソナのmikkiのレビュー・感想・評価

愛しきソナ(2009年製作の映画)
4.5
前作「ディア・ピョンヤン」を見て、続けてこちらも見ました。北朝鮮に住む監督の三人の兄たちの日常が興味深く、また食い入るように見てしまいました。

ソナちゃんは監督の二番目の兄の娘ですが、産みの母は5歳ぐらいの頃に亡くなったそうで、その後再婚した三番目の妻を母と呼んで暮らしています。この三番目の奥さんですが、ギター弾き語りで歌うシーンは完全にプロ級。耳障りのよい美しい声で聴く人の心をつかみ、とても素人芸とは思えない。さらに、とても美しく、夫よりも随分年下に見えます。若く美しく才能もあるのに、3人の子持ち男性の後妻になるって、どんな理由があったのかなとチラと思いました。

室内だけ見ると、きちんとしていて日本の家と変わらない印象ですが、1日に水道供給は2時間、ガス電気も使用制限は厳しいとのことで、特に冬の寒い時期は生きていくだけでも大変だろうと察しました。停電も頻発しているようで、長兄の息子はろうそくの明かりの元でピアノを弾いていました。

監督や両親が来たときにだけ行ける、外国人用?のレストランにソナを連れて行ったとき、メニューの中からどれを選ぶか、いつまでも迷い続けるソナ。滅多に来れない場所ゆえ、美味しくないものを選んで失敗したら悔しいから、決められないとのことでしたが、結局トッポッキとピザを頼みました。監督は、ソナはやっぱり朝鮮人だからトッポッキを選ぶのね、と言ってたのですが、ソナはトッポッキを食べるのははじめてとのこと。改めて北朝鮮の食料事情の劣悪さを感じました。
首都ピョンヤンに暮らし、日本からの仕送りで比較的豊かに生活しているソナでさえ、韓国では安い間食とされているトッポッキすら食べたことがないのか、と。色々興味深い作品でした。
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