桃子

獄門島の桃子のレビュー・感想・評価

獄門島(1977年製作の映画)
3.9
「見立て殺人の面白さ」

これはたぶん古家一行版をテレビで見たことがある。なのでストーリーはわかっていた。映画は初見だったが、なかなかにエグい。惨殺される3人娘のひとりが浅野ゆう子だったのか!トレンディードラマ全盛期の時によくダブル浅野とか見ていたなあ。おしゃれな女優さんで、自分でファッションの本も出している。わざわざ買って勉強したっけ(笑)今、彼女はどうしているんだろう??
1977年版の映画が後年テレビ放送された際、「キ○ガイ」という音声が消されたり「ピー音」がかぶせられたりするなどの処理がなされ、原作未読の視聴者にとってはなぜ金田一が謎を解けたのか理解できない状況となってしまったことがあったそうだ。テレビ放映では謎解きより優先されてしまうわけか。放送禁止用語の威力は凄まじい。原作を読んでいる人といない人で映画の理解度に差が出てしまうのはなんともはや… ミステリーは映画館で見るのが一番かもしれない(笑)
現実にはありえない「見立て殺人」のシチュエーションが実に凝っていて興味深い。原作者はヴァン・ダインの「僧正殺人事件」を読んで真似をしたものと思われる。マザー・グースに出てくる童謡にちなんで連続殺人が起きる古典ミステリーである。最初に「見立て殺人」を考えたヴァン・ダインが凄いと言えるのだけれど、自分なりにアレンジして独自の世界を作り出しているのも才能だと思う。そして、それをうまく映像化している監督も素晴らしい。
とにもかくにも、こういう現実離れしたおどろおどろしい連続殺人のミステリーは見ていて面白い。このコンビではいちばん有名だと思われる「犬神家の一族」も見たので、いずれレビューを書く予定である。 
桃子

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