アランスミシー

希望の樹のアランスミシーのレビュー・感想・評価

希望の樹(1976年製作の映画)
5.0
ヤスミンアフマドしかりアキカウリスマキしかりロイアンダーソンしかり国境や異教徒や他民族に挟まれた監督は得てしてこのような客観的視座を有したユーモアのある演出に落ち着くのだろうか?
キアロスタミもイラン革命の只中に居てこそ手にした視座であり、日本でも客観的視点の強かった監督は特に(小津チルドレンを覗いて)学生運動の最中に居た人達だと分かる。
北欧、ギリシャ、グルジア、イラン、旧ユーゴスラビア諸国、これらに共通するのはここ1000年で帝国的支配をした過去もなく複数の勢力が常に争い合う姿を隣、或いは国内で見て来たという歴史

『木靴の木』
エルマンノオルミ、ゲオルギーダネリア

日本がガラパゴス化から抜けられない、必ず日本視点になってしまう原因が地政学的に(地続きの国境がない事が原因だと)理解できた。
庵野秀明と宮崎駿の最大の違いはそこにあるのだと確信した。
宮崎駿の客観的視座は一体どこ(どれほどの勉強量)から齎されたのだろう?

私小説や極私的アニメ、ダウンタウン的お笑いが流行る理由もここにあるのだと実感した。
徹底的に外の問題を見ない事が現状この国の国民にとって幸福を維持する為の方策なのだと



「革命では山は平らにはならない」
「出過ぎた山は平らになる」

出すぎた山=資本家
革命=共産主義革命

↑おそらく本当はキリスト教vs共産主義ではなく共産主義vs資本主義を描きたかったテンギスだが検閲を逃れる為、ある意味逆転した寓意を取り入れるに至ったのだろう

引用してる詩の強度ヤバい