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誰も知らないのkのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
5.0
コロナ禍、夏の終わりに鑑賞。

タイトルは、
「本当に誰も知らなかったのか。
知らないふりをしていなかったか。」
そんなメッセージを込めていると監督のインタビューで拝見。

"メッセージ性が強い"という表現は出来るだけ避けてレビューを書いてきたけど、この映画のためだったんだと思う。
ちょっとこれは、もう。

夏の暑さを呪った。こんな気持ちになったことはない。
あの少し怖さを感じる空気が、彼らの日々にまとわりついていた。

自分がいかに恵まれているかどうかの話はしたくない。この子たちと自分を比べてどうこう言いたくない。
自分には何ができるか、責任を背負うことが出来るか、知らないふりをしてこなかったか。
人の目に触れる場所に、私の答えは何も書けやしない。

観ている間ずっと、現実がつきまとう。知らないはずの子どもたちが目に浮かぶようで、でも浮かばなくて、明たちと目が合うようなシーンで何度も目を背けそうになった。でも、どんな目をしているか確かめなければ。ちゃんと生きてるか確かめたい。勝手ながらそんなことも思った。

生活は、こんなにも簡単にガタガタと音を立てて崩れる。
「頼りにしてるわよ♡」

何を?

個人的に、伸びた髪もだけど剥げたマニキュアが苦しかったな。
実際の事件についても少し調べた。
映画の中では暴力がほとんど排除されていた。
それはきっと、観客がそれに引っ張られてしまうからなんじゃないかと思う。

かわいそうと同情させたいんじゃない、この映画は。
あなた(私)の街にも、生活の一端にも、彼らはきっといると、そう語りかけてくる。

だから私はもうこの映画を知らなかった頃に戻れない。
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