ダイヤモンド

誰も知らないのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.0
マニキュア、モノレール、飛行機、ピアノ、クレヨン、お年玉、ゲーセン、ともだち…。

長男アキラを中心に、子どもながらも母なしで日々を暮らすその健気さ。反面、時折子どもゆえに溢れてしまう無邪気さ。行き着く先は当然、八方塞がり。コンビニの若い店員2人やいじめられっ子のJKサキくらいしか、手を差し伸べようとしない。それを象徴するかのように、街頭を汚い身なりで駆け抜けるアキラとシゲルの姿に、声をかけようとする者は誰もいず…。

この子たちは、どこへ向かってゆくのだろう_。

暗いし、重い。けど、決して救いようのない世界だけを描こうとしたわけではないような気がします(実際に起こった事件を題材にしながらも、ただの不幸で可哀想な子どもたちの実態を描いていないので)。

子どもたちの、演技とは思えない自然体な何気ない仕草や動きを素描のように描いている映画。説明的ではなく、あざとくもない、それでいてしっかり印象に残る脚本と演出。是枝監督作品はまだ2作しか観ていなけど、好きなタイプの描き方です。