ジャージャー

誰も知らないのジャージャーのネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

授業で鑑賞。

社会の闇に埋もれる弱者としての子供に微かな光を当てる日本版フロリダプロジェクトとも言えるような作品。

是枝監督作を毎回見て感じるところだけど本当に子供の演出力に驚かされる。特に次男のしげる君のやんちゃ坊主で制御不能な言動を始め、演技に見えない自然体な姿はまるでドキュメンタリー映像。これをフィクションとしてカメラに収めるなんて常人にはできない。

でも本作は140分以上の長尺だけどその長さに必然性をあまり感じず、正直言って途中で完全に失速してしまってる気がする。いじめられっ子の女子高生との話や明の交友関係などかなりフィクショナルな部分は前半と後半で作品のバランスを偏らせてしまってると感じた。なのでそこを端折ってもっと兄弟4人に焦点を当てたタイトな映画にしてもいいのではと思った。

でも鑑賞後に直接是枝監督の講義を聞いてこれらの疑問は殆ど解消された。
まず女子高生の話については監督自身も何故かは分からなかったけど大切にしたいと思っていた部分で、作品を見た人からの「血ではない絆で結ばれた疑似家族を形成するラストに明るい展望を感じた」という感想を聞いてやっと腑に落ちたらしい。この血ではない絆で結ばれた疑似家族というのは「海街ダイヤリー」、「そして父になる」、そして最新作「万引き家族」に通じる共通テーマなのだと思う。
明の交友関係に関してもモデルにした事件で実際に友人達が少年宅へ出入りすることがあったらしい。

また今回の質疑応答で是枝作品に通ずる魅力がどこからくるのかということも少し分かった気がする。
まず「歩いても歩いても」でとくに顕著な、人がいないところでいない人の悪口や本心を吐露するような描写。
面と向かって悪口を言うような映画に疑問を持ち、且つ監督自身が映画のように陰口を叩く人だからこその描写らしい。実際人間なんて悪口はその人のいないところでするものだと思うからこのような描写のある是枝作品は見ていてどこか他人事ではいられない気分になるし、だからこそ深みと面白みがある。
次に音の演出。これまた「歩いても歩いても」の料理シーンなどで音は印象的に使われていた。是枝監督は耳が悪いらしく、音に関してはかなり明確なイメージを持ちながら入念に作っているらしい。

他にも「ちはやふる」が好きだという話や広瀬すず論、何故監督になったかなどが聞けて最高に面白い時間だった。