今更ながら鑑賞。
身につまされる感覚だった。
どんな話かは知っていたがここまで過酷とは…
万引き家族はある種映画っぽくドラマが形作られエンタメとして作られていたが今作は徹頭徹尾ドキュメンタリーの様相。
主人公を取り巻くネグレクトされた子供たちの話。
親はいつからが親なんだろう。
親だって好きなことをしたい。その願望はこの年になってより分かる。子供だって楽に育てたいし親だって楽に生きたい。
なぜ子供が生まれたからって人生を子供に注がないといけないんだろう。この感情に共感しつつも、いや注がないといけないだろうと真面目な自分が指摘を入れてくる。そりゃそうだ。
自分が親の年齢に近づけば近づくほど自分はなんて心配させるような息子だっただろうと思う。だからそんな子供でもちゃんと適度に放置して適度に育てないとと思う。
なんだか話がずれたけど、それくらいYOUのネグレクト演技が素晴らしい。本当に自分に忠実なんだな。そして本当に子供のことは愛してはいたけど自分を優先する場合が多かったんだなあと。完全に全く放置しているわけではなく本人なりにはそれなりに努力していたんだろう。
そんな放置具合で柳楽優弥が必死に生きていく。辛いよぉ〜
中でも一番きつかったのは中学に上がった春だ。
それまで適度に仲良くしていた友達たちが急に部活やら塾やらで遊ばなくなる。
主人公が感じていた絆はただのおもちゃに惹かれただけだった。そして主人公に聞こえないように、アイツんち臭いからやめたほうがいいぜ…
ほんっとリアルすぎて、是枝監督はどんだけ俺の心というかパーソナルエリアにズカズカ入り込んで心をズタズタにするなぁ！と憤りました。吐きそうになった。
正直終わりがない終わりなのだが、それでも終わりはやってくる。
終わりは確か朝日の注ぐ電車の中だったと思う。
朝日は本当に彼らに届いたのだろうか…電車の行き先はどこなんだろうか…すでにそれは現実世界ではないかもしれない。とか思うとやっぱり身につまされる。
こうして誰も知らない人が誰も知らないまま消えていく。誰も知らない人は別世界にいるのではなく、本当に今ここにいるんだ、と突きつけられた。
