ねぎおSTOPWAR

誰も知らないのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.4
観なくちゃいけない映画ストックが半端ないんです!汗
映画は日々、次から次へと製作されるし、ストック列の割り込みが多い(自分が悪い!)んです!ようやく「フロリダプロジェクト」なんですが、その前に「誰も知らない」だろうと。

ケイト・ブランシェットさんは、是枝監督を評して、「あなたはinvisible peopleに日の光を当てる方だ」というニュアンスのことをおっしゃったのだそう。
「そして父になる」の前から是枝さんは海外でも評判になっていたそうですからね。ケン・ローチさんからも「あなたはいい映画監督だ」とお墨付きをいただいた(NHK)わけで、その「そして父になる」の頃から動いていた企画「真実」がもう少しで公開というのは壮大な是枝<世界プロジェクト>が順調に動いている証明なのですね。



そして是枝さんの作品歴において、この作品は重要な位置づけ。
そもそもこの企画でデビューすることすら望んでいたとのこと。つまり「幻の光」よりも前から構想していたと。テレビマンユニオンにおいてドキュメンタリーなど番組を作っていたころからのもの。逆にそのドキュメンタリーにおいて子供の撮影方法などは鍛えられていたと言えるようです。
まだシネカノンのバックアップで製作していた頃の作品。(後にGAGAさんとフジテレビにシフトします)

系譜としては「万引き家族」につながる作品でしょうね。系譜としては。



何人もの大人が登場します。

心がまさに未熟で、子供の生活と自分の幸せを同列で語る母。
それとなく現状はわかっていても離縁したら無関心な元父(?)。
うすうす気づいてはいてもそれ以上知ろうとしない店長。
どう聞いているのかのんきな山本氏(電話ぐちのみ)。

比較的年齢の近い兄さん姉さんたちは、何も言わずに助ける人々。

本当に誰にも知られずに生きるということが出来るんだろうか・・確かに今の社会は無関心で優しくない。あり得るんだろうなあ。仕事にならないと助けやしない。仕事でやってる人たちのとこ行ったら?ということなんだろうなあ。

柳楽くん、クリスマス過ぎまでは頑張ってたけど、子供は限界だわな。そのあたりのリアリズムもヒリヒリします。追い討ちをかけるように母の「頼りにしてるよ。頑張って!」。完全に突き放すんじゃなくてこのズレてる感がまた傷に塩。
是枝さんの本はどこまでも追い込んでくる。安易な落としどころを見つけてくれない!

この作品が世界の映画人のリスペクトを集めたんですね。我々日本人が賞賛するようになるずっと前から世界は知っていた。是枝さんが優れた監督だということを。すっごいよなー。