映画の記録をつけよう

誰も知らないの映画の記録をつけようのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.5
やっぱり是枝作品は、出てくるキャラみんなへの視線が優しい。誰もが完璧ではないし、完全な善人も悪人もいない。だから簡単に人は人をジャッジできない。この「ジャッジしない」っていうのが是枝作品の特徴だと思うし、私にとっての大きな魅力であると思う。この作品も母親を絶対的な悪人としては描いていない。子煩悩なとこもあるし、よく笑うし、けど無責任だし、自分勝手。周りの大人も、コンビニの店員とか、大家夫妻とか、野球のおじさんとか、あきらたちを見守って支えてる部分もあるけど、一方でもっと踏み込んで、子供たちの状況を変えようとしなかった傍観者とも捉えられる。そして、子供たちも決して「かわいそうな子」としてではなく、たくましさ、優しさ、絆を守って生きる「人間」として描かれているように感じた。実際の事件の内容からしたら、この作品は、甘いというか、美化してるというか、そうとも捉えられるんだろうけど、誰もが優しさとか愛情をもってる一方で、怠惰で自分勝手であって、そういう中で揺れながら一人ひとり懸命に生きているという人間の在り方を描き切っていると思う。正義を振りかざすんじゃなく、何かを糾弾するのでもなく。