ゆきえ

誰も知らないのゆきえのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0
『誰も知らない』と言うタイトルに色々な意味が含まれていて苦しい。

実際の“巣鴨子供置き去り事件”はもっと酷いけれど、

【この映画は、東京で実際に起きた事件をモチーフにしています。
しかし、物語の細部や登場人物の心理描写はすべてフィクションです。
監督 是枝裕和】

と言うテロップを冒頭に出す是枝監督の配慮。
こう言うの大事。

フィクションに振り切って描くことで
一つの事件のことだけではなく
同じ境遇の子供達全体を描いているように思える。

フィクションなのに
子供達の想いをリアルに感じさせる
想像力、観察力、表現力の高さに脱帽。

そしてキャスティング力!!
どうしようもない母親役のYOUさんのハマりっぷりよ。。
子供達の前では優しいお母さん風ってのが憎い。

母親は頭の30分くらいしか出てこなくて
そこから先はひたすら放置された
子供達だけを描いてます。

長男役の柳楽優弥少年の演技力がエグい。
もはや演技に思えない。
カンヌ国際映画祭で男優賞取ってるの納得だわ!
(日本人で男優賞取ってるの彼だけ)
はにかむ表情が印象的で、
本当に恥ずかしがっている時と
何かをごまかすようにはにかむ時があって
それが絶妙。
一生懸命家計をやりくりしてる姿に胸をしめつけられた。
途中の野球のシーンも
本当ならこう言うことが日常であるべきなのにって思うと切なくて切なくて。。

長女の心境も複雑だし
この子の演技も凄く良いし、
次男は危なっかしくて可愛くて
こう言う子いるわって感じだし
(髪切ってもらった後の感じやばい。
めっちゃ子供らしさ全開で愛しすぎた)、
次女は小さ過ぎて可愛くて守ってあげたいし‥
全員、メチャクチャ自然で‥‥

そう言えば、
万引き家族の特集で撮影風景を放送してた時に
子供の撮り方が上手すぎて感動したな。

終盤の事件は
こんなことがあってはいけないと強く強く思う。
渇いてしまった感覚が悲しい。苦しい。
そしてやはり柳楽少年凄い。。

ラストの優しい音楽の中で歩く子供たちが一見普通の子供っぽくて
「あなたの街にもこう言う子がいるかもしれませんよ」ってメッセージに思える。
“誰も知らない”だけで。
ゆきえ

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