LEGION

誰も知らないのLEGIONのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.0
父親が異なる4人の兄妹と母の母子家庭は貧しくも生活していたが、ある日母親が失踪してしまう。苦しみながらも子供たちだけで生活を試みようとする物語。ある種の人間の日常を切り取ったこの作品はアクションがあったり、世界観が派手というわけではないのに頭に強く残るほどの強烈なものだった。淡々と子供たちだけで過ごしていく毎日には見ていて徐々に辛さが募っていく。苦しい生活をしたくないが、児童保護施設に連絡して兄弟を離れ離れにしたくない。どちらを選択するにしても厳しい結果が待ち受けてるところまで追い込まれた4人の表情は無表情が多く怖さがあった。ここまで追い込んだ存在である母親と子供たちの関係は非常に悲しいものだった。子供たちは世界を知らず、本当の幸せを理解してない。夜遅く酔いながら帰ってる母に「帰ってきた」という喜びを子ども4人が示し、外出をしてはいけないという決まりに不満であるもののそれが当たり前だと感じる末っ子。周りに平気で嘘をついていく母親の隣で無表情の長男。不自然な世界で生きる事を強いられた彼らに救いの手は「誰も知らない」から差し伸べられなかった。
子供たちだけで暮らしていくためにする生活の工夫は小学生らしさがあるため、思考の限界というものがある。自分の存在に確証を持てなかった長男である主人公は唯一外出を母親に認められていたため外に触れ合う機会があった。人と関わる事で自分の存在を確認できる喜びが高まる。ただ関わる人間が善悪かどうかは社会に触れてないため理解してない。生きる喜びを見つけようと必死になる主人公の姿に強さを感じた。悲しいストーリーながら見応えがあるものに仕上がっていた。
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