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許されざる者のnagashingのレビュー・感想・評価

許されざる者(1992年製作の映画)
3.0
おもしろい。でも正直よくわからん。西部劇という神話の解体を意図しているようだが、クライマックスにかけてむしろ神話は急速に再強化されていく。善悪が相対化されていく流れからただひとり無傷でいられるイーストウッド。もちろん、彼の役どころもわかりやすい正義としては描かれていないけど、音楽と状況設定は否応なしに観客の肩入れをうながす。ウイスキーの瓶に口をつけた瞬間、だれだって「よっしゃ殺したれ!」って思うだろふつう。周囲の人間が軒なみ理想的な(つまり西部劇的な)セルフイメージの提示に失敗するなかで、彼だけがそれを免れている。マニーの昔の武勇伝をほかの人物の口から語らせるのも、イーストウッド本人が監督をかねているせいでかなりいやらしく見えた。故ダンブルドア先生演じるイングリッシュ・ボブが名前もキャラクターも最高であり、あいつが主役のスピンオフが観られないのが惜しまれる。
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