ゆず

21グラムのゆずのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
3.7
人が死ぬ時に体重から減る21グラム。その正体は魂なんじゃないかという都市伝説。信じるか信じないかはあなた次第です。その21グラムをタイトルにしている作品なので、霊魂とか死生観を扱った重たくて暗い作品なのかなと思って見始めたら、重くて暗いのは当たってたけどスピリチュアルな感じはあまりしなかった。複数の人間が織り上げたひとつの数奇な運命を、あくまでリアルに語ったお話だった。「心臓移植で性格や好みが変わる」という都市伝説の部分がスピリチュアルではあるけど、この場合やりとりしてるのは「心臓」で、21グラムの正体と噂される「魂」ではない。ちなみに心臓の重さは約250〜350g。タイトルが「250〜350グラム」だったらスッゲエ微妙…。それはともかく、心臓移植で性格変わる都市伝説と、21グラムの魂の都市伝説は二者択一。どちらかを信じればどちらかが嘘になりはしないか。どちらも出てくるから少しモヤる。

プラス、時系列をバラバラにしまくった難解さが、モヤモヤを最後まで引っ張る。タランティーノの「パルプ・フィクション」なんて比較にならないくらいの刻みっぷりで、シーンごとに時間が飛んだり戻ったり。3人の男女の辛い人生を順不同のフラッシュバックで召し上がれ。いやー素材の苦味が効いてますねー。たぶん時系列順に描いても、この作品は重苦しいものだったし、運命の残酷さを充分伝えることができたと思う。そこへきて時系列をバラバラにすることでサスペンスが生まれ、鑑賞者をより惹きつけるのだと思う。時系列をバラバラにした映画はなんであれ面白い?この都市伝説、信じるか信じないかはあなた次第です。
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